【詳報】米バイデン大統領 施政方針演説 主な内容

アメリカのバイデン大統領は就任から100日になるのに合わせて今後の施政方針を示す初めての演説を行っています。演説の主な内容です。

再び動き出したアメリカ

「危機に直面した国家を引き継いでからまもなく100日になる。100年に一度のパンデミック、大恐慌以来最悪の経済危機、南北戦争以来最悪の民主主義に対する攻撃といった危機に直面していた。今、100日がたち、アメリカは再び動き出した。危険を可能性に、危機を機会に、挫折を力にする。われわれはともに経済対策『レスキュー・プラン』を成立させた。アメリカ史上、もっとも重要な救済策だ。われわれはすでに成果をあげている」

コロナ対策で成果あげた

「就任後100日で1億回分の新型コロナウイルスワクチンの接種を約束したが、100日間での接種は2億2000万回以上にのぼるだろう。われわれは政府のあらゆる資源を投じてワクチンを供給し、いまや16歳以上なら誰でもすぐにワクチンを接種できる。だからこそ、接種してほしい。まだ警戒を緩めるわけにはいかないが、史上最悪の感染拡大に対してこの100日間で達成したことは、かつてない成果だ」

雇用創出

「この100日間で130万人以上の新たな雇用を創出した。最初の100日間としては過去のどの大統領よりも多い」。

中間層が国を築いた

「インフラ整備で雇用を創出する経済対策『ジョブズ・プラン』は、アメリカそのものへの一世一代の投資で、第2次世界大戦以降で最大の雇用計画だ。何百万もの収入のよい仕事、アメリカ人が家族を養える仕事をつくる。この計画に投じられる国民の税金は、アメリカ製品を購入し、アメリカに雇用を生み出すために使われる。これはアメリカとその労働者層を再建するための青写真だ。ウォール街がこの国をつくったのではなく、中間層がこの国を築いたのだ」

気候変動対策は雇用創出

「気候変動対策は雇用創出を意味する。アメリカの労働者が、電気自動車やバッテリー製造で世界をリードできないはずがない」

先端技術開発進める

「数十年前、アメリカはGDPの2%を研究開発に投資していたが、いまは1%にも満たない。中国やほかの国々が急速に差を縮めている。私たちは、先端的な電池やバイオテクノロジー、コンピューターチップ、クリーンエネルギーといった将来のための製品や技術を発展させ、優位に立たなければならない。アルツハイマー病や糖尿病、それにガンの予防や治療の改善につなげるための最先端の研究開発部門も新たに作るべきだと考える」

21世紀の競争に勝ち抜く

「国内の競争にとらわれて、21世紀を勝ち抜くための競争相手が世界のほかの国々だということを忘れてはならない。中国の習近平国家主席は、世界で最も重要で影響力のある国になろうと真剣に取り組んでいる。彼をはじめとする専制主義者たちは、民主主義は合意を得るのに時間がかかりすぎるため、専制主義に対抗できないと考えている。未来への競争に勝つためには、子どもたちへの投資が必要だ」

企業や富裕層に負担を

「アメリカの企業や1%の富裕層にも公平な負担をしてもらう時が来た。富を築くことではなく、労働に報いる形にする」

同盟国と共に危機に対処

「私はアメリカが戻ってきたのだと各国のリーダーたちに伝えてきた。ただ戻ってきただけではない。とどまり続けるということ、そして同盟国とともにリードしていくという決意を示さなければならない。テロ、核拡散、移民問題、サイバーセキュリティー、気候変動、そしてパンデミックなど、現代のあらゆる危機に一国だけで対処することはできない」

ワクチンを外国へ

「ワクチンの供給は十分に満たしつつあり、今後は、ほかの国のワクチンの供給元になる。その前にすべてのアメリカ人がワクチンを接種できるようにする」

対中国、競争は歓迎するが争いは求めず

「中国の習近平国家主席との電話会談で、私は、競争を歓迎するが、争いを求めているわけではないと話した。一方で、全面的にアメリカの利益を守ると明確に伝えた。アメリカは、技術や知的財産の盗用など、アメリカの労働者や産業を弱体化させる不公正な貿易慣行に立ち向かう。私は習主席に、ヨーロッパでわれわれがNATOを通じて行っていることと同じように、インド太平洋においても紛争を防ぐために強力な軍事的プレゼンスを維持することを伝えた。アメリカは、人権や基本的自由、それに同盟国に対する責務から手を引くことはない。そして、基本的人権が明らかに侵害されている場合は、アメリカの大統領は黙っていないと伝えた」

ロシアに厳しく対応、協力も

「ロシアのプーチン大統領に対し、アメリカは事態をエスカレートさせることは望まないが、ロシアの行動には相応の措置を取ると明確に伝えた。バイデン政権は、選挙への介入やサイバー攻撃に相応の措置を取った。しかし、米ロ両国は核軍縮条約『新START』を延長したように、また、気候変動の分野で共に取り組もうとしているように、互いの利益のために協力することも可能だ」

イランと北朝鮮の核開発には同盟国と対処

「アメリカと世界の安全保障に深刻な脅威をもたらすイランと北朝鮮の核開発には、同盟国と緊密に連携し、外交と強い抑止力で対処する」

アフガニスタン撤退後もテロ警戒続ける

「国民の20年におよぶ勇気と犠牲の末、軍を撤退させるときが来たが、アメリカへの脅威を抑えるための能力は持ち続ける。テロの脅威はアフガニスタン以外にも広がっていて、どこからであろうとアメリカへの脅威に対しては警戒を続ける。アルカイダや過激派組織IS=イスラミックステートの活動範囲は、イエメンやシリア、ソマリアなど、中東・アフリカ地域に拡大している」

黒人のジョージ・フロイドさん死亡事件から1年 人種差別をなくせ

「アメリカにとって最大のテロの脅威は、白人至上主義によるものだ」。

「この国の魂を癒やすため、力を合わせなければならない。われわれはみな、黒人の首がひざで押さえつけられるような不当な事態を見てきた。警察組織と市民の間の信頼を取り戻し、司法における構造的な差別をなくし、警察の組織改革を力を合わせて進めなければならない。白人の警察官に首を押さえつけられて死亡した黒人のジョージ・フロイドさんが亡くなって1年になる来月までにそれを達成しよう」

ヘイトクライムからアジア系住民などを守る法律を

「ヘイトクライムの悪質さが繰り返し報じられてきた。議会に対してアジア系の住民などをヘイトクライムから守る法案を通過させるよう求める」

銃規制に議会も行動を

「私は銃による暴力のまん延から国民を守るため全力を尽くすが、議会も行動を起こす時だ。民主党議員だけでなく上院の共和党議員にも協力してもらい、銃の購入者に対する調査の抜け穴を塞ぐ必要がある。殺傷能力の高い銃や大容量の弾倉の使用も禁止しなくてはならない。できないとは言わせない。これは民主党か共和党かという問題ではなく、アメリカの問題なのだ」

移民めぐる争いに終止符を

「移民はアメリカにとってつねに不可欠な存在だった。移民をめぐる争いを終わらせよう。私は大統領就任初日に、公約どおり包括的な移民法案を議会に提出した。安全な国境や、移民の市民権獲得を実現すべきだと思うなら、法案を通過させてほしい」

勝つのはアメリカ、専制主義国家ではない

「われわれの民主主義を冒とくした連邦議会への襲撃は、私たち全員の心の中に鮮明に残っている。多くの人の命が危険にさらされ、失われた命もある。民主主義が存続し続けられるのかという問いは、古くからあり、現在も重要である。われわれは民主主義がまだ機能することを証明しなければならない」「専制主義国家が未来を勝ち取ることはない。アメリカが勝つ。光と希望をもって21世紀の競争に勝ち抜くために新たな力と決意を奮い起こす」