学校向け感染対策マニュアルを改訂 変異ウイルス拡大で

感染力の強い変異した新型コロナウイルスが広がっていることを受け、文部科学省は28日、学校向けの感染対策マニュアルを改訂し、変異ウイルスは従来より子どもへの感染力が強い可能性があるとして、これまで以上の危機感を持って感染対策に取り組む必要があるとしています。

文部科学省は、今回改訂した学校向けの感染対策マニュアルで、変異ウイルスについて、現段階の状況として、子どもが大人より感染しやすいという証拠や、より重い症状を引き起こすという証拠は得られていないとしたうえで、従来のウイルスと比較すると変異ウイルスの子どもへの感染力は強い可能性があるとして、影響を引き続き注視する必要があるとしています。

そのうえで各地で急速に従来のウイルスから変異ウイルスに置き換わりつつあるとして、3密の回避や、マスクの着用、手洗いなどの基本的な感染対策に、従来以上の危機感を持って取り組む必要があるとしています。

また、児童生徒への変異ウイルスの感染状況についても、今月から報告を求めているということです。

今回の改訂では、感染が不安で自主的に休む、いわゆる「自主休校」の子どもについて、感染経路が不明な患者が急激に増えている地域で、高齢者や基礎疾患がある家族がいる場合などは、ICTによる指導を行うなど学習を支援することや、校長の判断で欠席の扱いにしないことが可能だと盛り込まれています。

このほか、地域一斉の臨時休校については学びの保障や、心身への影響などの観点から慎重な判断が必要だとしています。

文部科学省健康教育・食育課の三木忠一課長は「変異ウイルス対策としても、3密をはじめとした感染症対策が引き続き重要だ。学校での取り組みや子どもたちの活動が制限される期間が長くなり、子どもたちや保護者、それに教職員に負担がかかっているが、1人でも子どもの感染が減らせるよう取り組みたい」と話していました。

児童生徒の感染状況

文部科学省によりますと、全国的に学校が再開した去年6月から今月15日までの児童や生徒の感染状況は、
小学生が6183人、
中学生が4072人、
高校生が7046人、
特別支援学校の生徒が269人の、
合わせて1万7570人となっています。

感染者数は、ことし1月上旬から中旬が1週間当たり1900人近くと最も報告が多くなり、その後減少傾向にありましたが、先月下旬から増加傾向にあります。

感染経路を見ると「家庭内感染」が小学校の78%、中学校が64%などとすべての学校種別で最も多い一方で、高校では「感染経路不明」も33%と高い割合になっています。

傾向としては大きな変化は見られないとしています。

5人以上のクラスターの発生率は高校で高く、このうち10人以上のクラスターは高校の部活動に関係したケースが多く、いずれも従来と同様の傾向となっています。