東京五輪・パラ 5者会談始まる 観客数の上限について議論

東京オリンピック・パラリンピックの観客数の上限について議論する、大会組織委員会やIOC=国際オリンピック委員会など、5者による会談が始まりました。
これまで会場の収容人数の半分までとする案や、無観客とする案などが浮上していますが、緊急事態宣言が出される中で、具体的な上限の数字を示すのは難しいという見方もあり、どこまで具体的な方向性を示せるかが焦点となります。

東京大会の観客の上限について議論する組織委員会の橋本会長と丸川オリンピック・パラリンピック担当大臣、東京都の小池知事、それにIOCのバッハ会長、IPC=国際パラリンピック委員会のパーソンズ会長による会談は午後6時半すぎに始まりました。

5者による会談は先月も開催され、その中では新型コロナウイルスの影響で東京大会では海外から観客を受け入れないことを決め、今月中に国内の観客数の上限について方向性を示すとしていました。

関係者によりますと、これまで観客数の上限をめぐっては、会場の収容人数の半分までとする案や、無観客とする案など感染状況に柔軟に対応するため複数の案が浮上しているということです。

一方で、東京などに緊急事態宣言が出される中で、具体的な数字で観客の上限を示すのは難しいという見方もあり、28日の会議でどこまで具体的な方向性を示せるかが焦点となります。

また、組織委員会は観客数の上限についての判断は、6月にずれ込む可能性があるとしていて、会談では最終的な判断の時期についても意見が交わされているものとみられます。

5者の冒頭発言は

IOC バッハ会長「リスク最小限に」

会談の冒頭、IOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長は「日本政府や東京都が緊急事態宣言を発表したことを完全に理解し、尊重している。私たちは、日本の皆さんと大会参加者の安心と安全を最優先にしている。リスクを最小限にするために必要なあらゆる対策をとる準備はできている」などと述べました。

丸川五輪相「安全安心な大会に」

丸川オリンピック・パラリンピック担当大臣は「東京大会は国民の皆さんの理解を得て安全安心な大会にしなければならない。本日、新型コロナウイルスの変異株に対応した追加対策として選手や関係者の入国ルールなどについて考えを取りまとめた。この5者において、変異株に対応した追加対策の合意を得たい」と述べました。

小池都知事「まずはコロナ対策」

東京都の小池知事は「新型コロナウイルスの変異株による感染が日本でも広がっているが、まずはコロナ対策ということが必要なのは言うまでもない。人流を抑制することを中心として飲食店に協力してもらいながら東京都も政府とともに対策に全力をあげている。コロナ禍を乗り越えて開催する東京大会が、人々にとって希望のともし火となり、真の共生社会の実現につながるよう5者で緊密に連携していきたい」と述べました。

組織委 橋本会長「判断に至った状況を丁寧に説明」

組織委員会の橋本会長は「この夏の大会を楽しみにしている人も多い一方で、大会開催に不安や心配を抱く人もいて、そのどちらにも向き合って行く必要がある」と述べました。
そのうえで「観客の上限については各方面で関心も高く、本日、どのように判断するか議論をするとともに、単にその結論を伝えるだけでなく、判断に至った状況を丁寧に説明し、国民やアスリート、大会関係者の理解を得ていきたいと考えている」と述べました。

IPC パーソンズ会長「史上最も重要な大会になる」

IPC=国際パラリンピック委員会のパーソンズ会長は「プレーブックの第2版が発表されることによって、どうやって大会が安全安心に運営されるのか関係者全員がさらなる情報を得られることに感謝している。同時に大会に向けて全関係者がいかに可能なかぎりの安全対策を講じているかを、すべての日本人が理解できて安心できると確信している」と述べました。
そのうえで、「東京パラリンピックは、日本社会だけでなく世界中に象徴的なインパクトをもたらすものだ。パンデミックによって影響を受ける障害者を受け入れる世界を目指すために東京パラリンピックは史上最も重要な大会になると信じている」と述べました。