「感染状況はクリスマス前後に似る」連休で拡大危惧 東京都

東京都の「モニタリング会議」が開かれ、専門家は今の感染状況は年明けに感染が急拡大する前の去年のクリスマス前後と似ていて、大型連休の期間などに、さらに人と人との接触が増えれば、第3波を超える急激な感染拡大が危惧されるとして、徹底した人の流れの抑制が必要だと指摘しました。

会議のなかで専門家は、都内の感染状況と医療提供体制を、いずれも4段階のうち最も高い警戒レベルで維持しました。

このうち感染状況については、新規陽性者の7日間平均が今月27日時点で、およそ716人と、今月21日時点のおよそ644人の118%となり、3週連続で120%前後の高い水準だと説明しました。

感染力が強い「N501Y」の変異があるウイルスに感染した人の割合は、今月11日までの1週間は30.0%でしたが、今月18日までの1週間は44.4%まで上昇し、流行の主体が変異ウイルスに急速に移りつつあると説明しました。

そのうえで専門家は、新規陽性者が急増している今の感染状況は、年明けに感染が急拡大する前の去年のクリスマス前後と似ていると指摘しました。

そして大型連休の期間などに、さらに人と人との接触が増えれば、第3波を超える急激な感染拡大が危惧されるとして、徹底した人の流れの抑制が必要だと指摘しました。

一方、専門家は変異ウイルスの拡大で、大型連休から医療提供体制のひっ迫が危惧されると説明しました。

そして、ほぼすべて変異ウイルスに入れかわった場合には、2週間後には新規陽性者は1742人、入院患者は4450人になるという推計を明らかにしました。

そのうえで、新規陽性者の増加、特に高齢者層への感染を徹底的に防止し、変異ウイルスによる重症患者の発生を防ぐ必要があるとしています。

専門家「夜間の人出は危機的な状況だ抑制が重要」

モニタリング会議で専門家は、先週の都内の夜間の人出は去年4月の1回目の緊急事態宣言のおよそ3倍になるなど「危機的な状況だ」として、大型連休中の人の流れの抑制が重要だという認識を示しました。

東京都医学総合研究所の社会健康医学研究センターの西田淳志センター長は28日の都のモニタリング会議で、都内7つの繁華街の人出について分析結果を報告しました。

それによりますと、今月18日から24日までの1週間の夜間の人出は、1回目の緊急事態宣言が出されていた去年4月に比べると、午後8時から10時までが3.29倍、午後10時から午前0時までが2.80倍でした。

また、2回目の緊急事態宣言が出されていたことし1月と比べると、午後8時から10時までが1.57倍、午後10時から午前0時までが1.53倍でした。

西田センター長は「危機的な状況にある。この水準が続くと大型連休中に感染者数が、さらに増加し続ける可能性が高い。この期間に集中して人流を抑制できるかが、今後の感染状況を左右する非常に重要な分岐点になる」と指摘しました。

また、大阪の状況についても報告し、人出が減少に転じてすでに1か月経過しているものの、感染の収束の見通しはたたず、医療のひっ迫が極めて深刻だとして「東京もさらに感染が拡大すると大阪のように収束までに相当な時間がかかる可能性がある」と指摘しました。