“紀州のドン・ファン”不審死 元妻を殺人などの疑いで逮捕

和歌山県田辺市の資産家で、“紀州のドン・ファン”と呼ばれた会社社長の男性が急性覚醒剤中毒で死亡した事件で、警察は28日、25歳の元妻を殺人などの疑いで逮捕しました。

捜査関係者によりますと、元妻は事件前に覚醒剤の密売人とSNSで連絡をとり、田辺市内で接触したとみられるということです。警察は、元妻の認否を明らかにしていません。

3年前、和歌山県田辺市の会社社長で“紀州のドン・ファン”とも呼ばれていた野崎幸助さん(77)が自宅で急性覚醒剤中毒で死亡した事件で、警察は28日午前5時すぎ、東京 品川区に住む元妻の須藤早貴容疑者(25)を殺人と覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕しました。

これまでの調べで、野崎さんが自分で覚醒剤を使った痕跡がなく、須藤容疑者が口から摂取させた疑いがあるということです。

また捜査関係者によりますと、須藤容疑者が野崎さんと結婚したあと、スマートフォンで覚醒剤について調べていたことがわかったということです。

さらに、SNSを通じて覚醒剤の密売人と連絡をとり、田辺市内で接触していたとみられることもわかったということです。

警察は、覚醒剤の入手ルートや野崎さんに摂取させたいきさつなどを調べています。

警察は、須藤容疑者の認否について明らかにしていません。

須藤容疑者 逮捕後の様子

須藤早貴容疑者(25)は東京 品川区の自宅マンションで逮捕されたあと白いワゴン車に乗せられて午前5時半すぎに建物を出ました。

表情などははっきり見えませんでしたが、座席に座ってうつむいているようでした。

須藤容疑者 南紀白浜空港での様子

須藤早貴容疑者(25)を乗せた飛行機は、午前8時45分ごろに和歌山県白浜町にある南紀白浜空港に到着しました。

須藤容疑者は、すべての乗客が飛行機から降りた後、最後に複数の捜査員に囲まれながら一般の乗客が利用しない階段を使って空港に降りました。

須藤容疑者は少しうつむいた様子で階段を降り、待機していた警察の車に乗せられ、午前9時ごろ捜査が行われている田辺警察署に向かいました。

須藤容疑者とは

須藤早貴容疑者は札幌市出身で、野崎さんとは50歳以上年齢の離れた妻でした。

野崎さんが亡くなる直前の平成30年に出版した「紀州のドン・ファン野望篇」という本の中では、前の年の秋に羽田空港で転んだところを当時21歳だった須藤容疑者に助けてもらったことがきっかけで知り合ったと紹介されています。

そして「最後の女性になってくれませんか」と野崎さんから申し込まれ平成30年2月に結婚しました。

須藤容疑者は結婚後も東京都内のマンションに住み野崎さんのいる和歌山県田辺市に姿を見せることは少なかったということです。

そして、野崎さんは結婚からわずか3か月後に不審な死を遂げます。

葬儀や初盆の際の須藤容疑者の様子について参列した男性は「『旦那さんが亡くなってしまって大変だね』と声をかけたら『別に』という反応で、スマートフォンを触ってばかりでした」と違和感を覚えたと話していました。

野崎さん「紀州のドン・ファン」と称し注目集める

野崎幸助さんは、平成28年に出版した自伝で、“美女4000人に30億円を貢いだ男”として次々と女性を誘惑するスペインの伝説上の人物、「ドン・フアン」にみずからを重ね合わせ「紀州のドン・ファン」と称して注目を集めました。

著書によりますと、野崎さんは和歌山県田辺市で生まれ、中学卒業後、鉄くず拾いや訪問販売から商売を始めて金融業や不動産業へと手を広げ、億単位の資産を築くまでになったとしています。

こうした商売に情熱を注いだ理由については「私がお金を稼ぐ理由は、なんと言っても魅力的な女性とお付き合いをしたい、その一点に尽きます。仕事も女性とのお付き合いも、『死ぬまで現役』と心に誓っております」とつづっていて、これまでに4000人以上の女性と交際し、30億円ほどを使ったとしています。

40年来の友人という男性は、NHKの取材に対し「地元の田辺市には他にいないような派手な暮らしで自宅には数億円もする著名な画家の絵画を飾っていました。服装も全身高級ブランドで着飾り数百万円もするダイヤモンドのカフスボタンをつけていました」と話しています。

野崎さんと親交があった人は

野崎幸助さんの会社の役員を務め、生前、側近と呼ばれるほど親交があった元畑眞さんがNHKの取材に応じました。

須藤容疑者が逮捕されたことについて「野崎さんは、覚醒剤を絶対にやらない人だったので、きっと誰かに飲まされたんだろうと思っていた」と話しています。

また、元畑さんは「須藤容疑者は結婚後、野崎さんから毎月100万円を受け取っていて、月末に支払いが滞ると金を渡すよう、せかす場面もあった」と話しています。

須藤容疑者は、結婚後も東京都内のマンションに住み和歌山県田辺市に姿を見せることは少なかったということで、元畑さんは「野崎さんはこのような状況なら別れるとか、離婚したらお金は渡さないと言っていた」と話しています。

野崎さんの同級生は

また野崎さんと小中学校で同級生だった男性は、須藤容疑者が逮捕されたことについて「逮捕されるまでずいぶん長い時間がかかったと思うが、これで一段落したなと思う」と話しました。

そして、須藤容疑者には野崎さんの通夜で初めて会ったとしたうえで「毅然とした表情で、22歳とは思えないほど堂々としていた。夫が亡くなっても憔悴するようなそぶりを見せず落ち着いていたのを覚えている」と話していました。