“感染者減らずに宣言解除 経済損失膨らむ” 学者グループ試算
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言を解除する際の感染者数と経済的な損失について東京大学の経済学者のグループがシミュレーションを行い、感染者数が十分に減らないまま宣言を解除すると再び感染拡大を招き、経済的な損失も膨らむとする計算結果を公表しました。
このシミュレーションは東京大学大学院経済学研究科の仲田泰祐准教授と藤井大輔特任講師のグループが公表しました。
グループは、今月25日までのデータをもとに緊急事態宣言を解除する際の一日当たりの新規感染者数と、その後の感染状況や経済への影響などの関係を計算しました。
シミュレーションでは、従来のウイルスより感染力が1.5倍になった変異ウイルスが広がると仮定しました。
その結果、東京都については、5月第2週に一日の新規感染者数が500人を下回った段階で宣言を解除したと想定すると、その後、感染者数は再び増え始め、6月第4週には一日1000人を超えるなど、年内に2回、緊急事態宣言を出すレベルに達するという計算になりました。
また、6月第2週に250人を下回った段階で解除した場合も、8月第3週には1808人まで増えて、緊急事態宣言が必要なレベルになるという結果となったということです。
いずれの場合も、経済的な損失は3兆5000億円を超えるという計算結果となりました。
一方、7月第4週に100人を下回った段階で解除した場合は、ワクチンの効果などにより、その後、緊急事態宣言が出るレベルまでは感染者数は増えず、経済的な損失は2兆6000億円余りとなりました。
また、大阪府については、一日250人を下回った段階で宣言を解除した場合は再び感染は拡大し、10月には再び1000人を超え、経済的な損失は2兆4000億円を超えました。
一日100人を下回った段階で解除した場合は、その後、感染者数が少ない状態が続き、経済損失は1兆9000億円余りという計算になったということです。

研究グループでは毎週火曜日にウェブサイトでシミュレーションの情報を更新しています。