JR東海 リニア中央新幹線 品川・名古屋間 総工事費1.5兆円増に

JR東海の金子慎社長は、リニア中央新幹線の品川・名古屋間について、総工事費がこれまでの見通しより1兆5000億円膨らみ、7兆円余りに上ることを明らかにしました。目標とする2027年の開業が難しくなっていることについては、静岡県内の工事が依然として着工できていないとしたうえで、「見通しが立てにくい」と述べました。

JR東海の金子社長は27日、名古屋市で開いた会見で、2027年の開業を目指すリニア中央新幹線の品川・名古屋間について、総工事費がこれまで示していたおよそ5兆5200億円から1兆5000億円膨らみ、7兆円余りに上る見通しを明らかにしました。

理由については、
▽品川駅や名古屋駅のターミナルの工事が想定より難しいことや、
▽地震対策をより強化する必要が明らかになったこと、
▽工事で発生した土の運搬費などが増えることの3点を挙げました。

工事費を確保するめどについては、鉄道収入が段階的に回復し、2024年度以降、2028年度までに感染拡大前の水準に戻る見通しだとしたうえで必要な資金を確保できるとしています。

品川・名古屋間の工事をめぐっては、静岡県が水資源への影響の懸念から着工を認めておらず、JR東海が目標とする2027年の開業が難しくなっています。

これについて、金子社長は「見通しが少し立てにくい」と述べ、2027年の開業が難しいという認識を改めて示しました。

リニア中央新幹線とは

リニア中央新幹線は、東京・品川と大阪を結ぶ次世代の交通の大動脈としてJR東海が建設を進めていて、早ければ2037年の全線開業を目指しています。

このうち、品川・名古屋間は、先行して2027年の開業を目指していて、総工事費はおよそ5兆5200億円と見込んでいました。

しかし、想定より工事が難しいことなどから、JRは今回7兆円余りに膨らむ見通しを明らかにしました。

リニア中央新幹線は、走行試験で出した最高速度が時速603キロと、ギネス世界記録にもなっています。

営業運転での最高速度は時速500キロの予定で、
▽品川・大阪間を最短で1時間7分、
▽品川・名古屋間を40分で結びます。

そのスピードを最大限に生かすため、先行開業を目指す品川・名古屋間は、なるべくカーブが少ないルートをとっていて、東京、神奈川、山梨、静岡、長野、岐阜、愛知の7つの都県を通ることになっています。

停車駅は、静岡県を除く6つの都県に1つずつ設けられる予定で、品川駅と名古屋駅のほか、中間駅が相模原市と甲府市、長野県飯田市、岐阜県中津川市に設置されることになっています。

JR東海は、2015年12月から本格的な工事に着手し、品川駅と名古屋駅の地下に専用の駅をつくる工事のほか、岐阜や長野、山梨の山岳地帯にトンネルを掘削する工事など、難所とされる場所から優先して工事を進めています。

政府は当初、2045年とされた全線開業を大幅に前倒しするため、低い金利で資金を供給する「財政投融資」を活用して融資を行うなど、建設を全面的に後押ししています。

ただ、静岡県が水資源への影響の懸念から県内の着工を認めておらず、目標としている品川・名古屋間の2027年の先行開業が難しくなっています。

JR東海と静岡県の協議が難航する中、国土交通省は、水資源やトンネル工学などの有識者による会議で議論を進めています。

今月17日にまとめられた中間報告の案では、南アルプスの地下に掘るトンネル内に地下水が湧き出すことで、大井川の水量が減るという静岡県の懸念について、水の通り道となる別のトンネルをつくり、湧き水を川に戻すなどの対策をとれば、中下流域の水量は維持され、地下水への影響も極めて小さいとしました。

そのうえで、工事の影響を把握するため、JR東海に対し、川の水量や地下水のモニタリングを行い、地元と情報を共有するよう求めています。

有識者会議は中間報告の取りまとめに向けた作業を進める方針ですが、静岡県の同意を得られる見通しは立っていない状況です。