米アカデミー賞「ノマドランド」が作品賞 監督賞など3部門受賞

アメリカ映画界最高の栄誉とされるアカデミー賞の発表がロサンゼルスで行われ「ノマドランド」が作品賞や監督賞など3つの部門で受賞しました。クロエ・ジャオ監督がアジア系の女性として初めて監督賞に選ばれたことについて、地元メディアは歴史的なことだと伝えています。

ことしで93回目となるアカデミー賞の発表と授賞式は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、去年よりおよそ2か月遅れの開催となりました。

感染防止のため、出席者は大幅に制限され、メインの会場も例年のハリウッドの劇場ではなく、開放的な空間があるロサンゼルス中心部の鉄道の駅となりました。

最も注目される作品賞には、仕事や住まいを失い、車上生活を続けながらアメリカ各地を転々とする主人公の女性と、行く先々で出会う人々との交流を描いた「ノマドランド」が選ばれました。

この作品で中国生まれのクロエ・ジャオ監督は、アジア系の女性として初めて監督賞に選ばれ、地元紙のロサンゼルス・タイムズは「彼女が達成したことは歴史的なことだ」と伝えました。

また、フランシス・マクドーマンドさんが主演女優賞に選ばれました。

一方、農業で成功することを夢見て韓国からアメリカに移住した男性と、その家族の行方を描いた「ミナリ」では、韓国のユン・ヨジョン(尹汝貞)さんが助演女優賞に選ばれました。

女性が監督賞受賞は11年ぶり2人目

女性がアカデミー賞の監督賞を受賞するのは11年ぶりで、クロエ・ジャオ監督で2人目です。

女性として初めて監督賞を受賞したのは2010年にアカデミー作品賞を受賞した「ハート・ロッカー」の監督、キャスリン・ビグローさんです。

2004年当時のイラク戦争を舞台に、ドキュメンタリー映画のような緊張感あふれる映像で爆発物の処理にあたるアメリカ軍兵士たちの過酷な状況を描き、高い評価を受けました。

マイノリティーや女性の活躍目立つ

ことしのアカデミー賞では、候補作品の発表の段階からアメリカではマイノリティーに属する人たちや女性の活躍が目立ちました。

アメリカの映画界に対しては「男性や白人偏重だ」という批判が以前から出ていて、アカデミー賞の主催団体では出演者の一定以上をマイノリティーや女性などとすることを作品賞の選考基準に加え、2024年から適用する方針を示しています。

今回のアカデミー賞の結果は、そのような批判の声に一定程度こたえたという見方もあります。

監督の生まれ故郷 中国では“快挙”伝えられず

クロエ・ジャオ監督の快挙が世界で大きく報じられているのとは対照的に、監督の生まれ故郷である中国では伝えられていません。

国営メディアが受賞に関するニュースを報じていないのをはじめ、インターネット検索サイトの百度で監督の中国語名である「趙※テイ」と、「オスカー」というキーワードで検索しても、何も表示されない状態となっています。

また、ジャオ監督が授賞式で感想を述べた際の映像だとする検索結果は表示されますが、その結果を選択しても別のページが表示され、映像を見ることはできません。

ロイター通信は、こうした情報統制は当局の指示によるもので、国営メディアや検索サイトにとどまらず、個人でも、SNSでジャオ監督を称賛する投稿をしたところ、アカウントが閉鎖されたケースもあると伝えています。

中国政府が神経質になっていることに関連して、イギリスのBBCは、ジャオ監督が2013年に行われたインタビューで、かつての中国での暮らしについて「うそだらけだった」などと述べたのが一因ではないかという見方を示しています。

ジャオ監督のアカデミー賞受賞をめぐる規制は、きょうの中国外務省の記者会見でも質問が出ましたが、汪文斌報道官は「外交問題ではない」と述べ、論評を避けました。

※「女」偏に「亭」