インド 新型コロナ 感染深刻化 アメリカが緊急支援を表明

インドで新型コロナウイルスの新たな感染者が連日30万人を超えていることを受けて、アメリカのバイデン政権は、人工呼吸器や、ワクチンの製造に必要な原材料などを緊急に支援すると表明しました。

インドでは4日連続で30万人余りが新型コロナウイルスに感染していることが確認され、感染の拡大が深刻化しています。

病院では医療用の酸素が不足し、ニューデリーの病院では24日、患者が吸入する酸素の圧力が低下した影響で、20人が死亡したと伝えられています。

こうした事態を受けて、アメリカのバイデン政権は25日、ワクチンの製造に必要となる原料をはじめ、検査キットや人工呼吸器、防護用機材などをインドに送るほか、医療用の酸素を緊急に提供することも検討すると発表しました。

発表を前に、ホワイトハウスで安全保障問題を担当するサリバン大統領補佐官が、インド側と電話で会談し、両国は今後も緊密に連絡を取り合うことを確認したとしています。

バイデン政権は、「クアッド」と呼ばれる日本、アメリカ、インド、オーストラリアの4か国からなる首脳会合を先月、オンラインで初めて開き、ワクチンの供給や気候変動対策などでの連携を確認したばかりで、影響力を増す中国も念頭に、インドとの関係強化を図ろうとしています。

ヨーロッパでも支援の動き広がる

インドで新型コロナウイルスの感染が急拡大していることを受けて、イギリスやフランスなどヨーロッパでも支援の動きが広がっています。

このうち、イギリスは25日、酸素を濃縮する装置や人工呼吸器など、600を超える医療機器をインドに提供すると発表し、最初の発送分は現地時間の27日朝にも到着する見通しだということです。

さらなる支援についても検討を進めているということで、ジョンソン首相は「困難な状況に対処するため、今後もインド政府と協議を続けていく」とコメントしています。

イギリスは、インド太平洋地域への関与を強める姿勢を打ち出していて、今月、ジョンソン首相がインドを訪問する予定でしたが、感染状況の悪化を受けて、訪問を取りやめていました。

また、フランスが人工呼吸器を提供する方針のほか、EU=ヨーロッパ連合も支援を表明しています。