東京五輪 自転車トラック種目 テスト大会を開催 静岡 伊豆

東京オリンピックの自転車トラック種目のテスト大会が日本代表に内定している選手も参加して、静岡県伊豆市の伊豆ベロドロームで行われました。

開幕まで3か月を切る中、本番の会場で行われたテスト大会には、日本代表に内定している選手を含む国内のトップ選手が参加し、男女の8種目が行われました。

大会は無観客で行われ、関係者は全員入り口で体温を測るとともに、健康状態を示した表を提出するなど、予定していた感染対策に加え、4都府県で25日から再び緊急事態宣言の期間に入った中、選手の取材が取材エリアでの対面方式からオンライン形式に切り替わるなど対策が強化されました。

このため取材エリアでは、大会本番を想定して組織委員会の担当者が記者役を務め、選手との間に少なくとも2メートルの距離を確保できるよう柵を設置して、インタビューのシミュレーションを行っていました。

また表彰式では、本来は来賓などが行うメダルの授与を選手がみずから手に取って首にかけるなど、感染状況によって本番でも実施する可能性がある感染対策の手順を確認していました。
会場には、自転車でオリンピックに出場経験がある組織委員会の橋本会長も視察に訪れ、日本がメダルを目指す男子スプリントでは、準決勝でともに代表に内定している新田祐大選手と脇本雄太選手が直接対戦し、激しく競り合うなど各種目で白熱したレースが繰り広げられました。

組織委員会は、今大会で浮かび上がってきた課題に対応しながら、3か月後に迫った大会本番に臨むことになります。

橋本会長「課題がはっきり見えてきている」

橋本会長はテスト大会を振り返って「非常に頼もしい姿を見た。コロナ対策の防疫措置もゾーニングも含めてしっかりとできている。本番に向けてどれだけのことができるか、きょうの大会を踏まえて詰めていきたい」と述べました。

また、25日から東京など4都府県で再び緊急事態宣言の期間に入ったことを踏まえ「安心安全最優先の大会なので、それをしっかりとやるために、ルールを守っていただく。あらゆるテクノロジーを活用して、選手の声や、選手の競技の状況を伝えてもらえるように準備に取り組んでいきたい。今回、明確な課題がはっきり見えてきているところもあるので、この課題を一つ一つ丁寧に解決していく作業にこれから入っていく」と述べました。

表彰式のメダル授与 課題検討して決める

大会を終えたあと、運営を取りしきった組織委員会大会運営局の森泰夫次長がオンライン形式での取材に応じました。

森次長は、まず4都府県に緊急事態宣言が出されている中で、テスト大会が開催できたことに、関係者に対して感謝のことばを述べたうえで、今回の大会でチェックした新型コロナの感染対策や、機械を使った判定システムなどの技術、それに表彰の在り方などについて個別に総括しました。

このうち、表彰式で選手みずからがメダルを手に取って首にかけるスタイルでメダル授与を行ったことについて「本番でも同様に行うのか」と問われ、森次長は「まさに今回検証したところだが、実際に今回行ってみて選手はどのように感じたのか、どこに課題があるのかを検討し今後決めていきたい」と答えました。

また、選手とスタッフの接触が多いエリアについては、「スクリーニング検査を行い、スタッフを絞って従事してもらった。入れる場所についても厳密にゾーニングした」と説明したうえで、新型コロナ対策については「消毒や距離を保つなど一般的なコロナ対策に尽きると考えている」と述べました。

内定している選手たち 順調な調整ぶり

この大会では東京オリンピックの代表に内定している選手たちが順調な調整ぶりを見せました。

男子ケイリンには、代表に内定している新田祐大選手と脇本雄太選手の2人がそろって出場しました。

ケイリンは日本発祥で、6人がトラックを6周して順位を競う種目で、新田選手は、ほかの選手を伺いながら残り1周でトップに立つと、後続の選手との差を広げる圧巻の走りで優勝し、順調な調整具合をアピールしました。

また、男子スプリントでも脇本選手との直接対決を制し、出場した2種目で優勝しました。

新田選手は「新型コロナで世界中が大変な中でも大会を開催していただき、オリンピックに向けていい準備ができました。スタッフが感染対策を徹底していたので、集中して試合に臨むことができました」と話していました。

一方、脇本選手は男子スプリントの準決勝で新田選手に敗れましたが、順位決定戦で勝利し3位、ケイリンは5位という結果でした。

脇本選手は「オリンピックまでの最後の大会で自分の力を出し切ることはできました。少し疲れが出てしまいました」と振り返っていました。

男子中距離で代表に内定している橋本英也選手は、出場した3種目すべてで優勝し「本番と同じ場所で表彰台の1番上に立つイメージができたことに感謝しています」と話していました。

また、女子短距離で代表に内定している小林優香選手も、予選からオリンピック新記録に相当する好タイムをマークするなど好調で「励んできた日々の練習の成果が出ました。タイムを出せて満足しています」と笑顔で話していました。