ジャパンパラ大会 女子走り幅跳び義足のクラス 中西麻耶が優勝

東京パラリンピックを目指す陸上のトップ選手が集まる「ジャパンパラ大会」は、女子走り幅跳び、義足のクラスで代表に内定している中西麻耶選手が、5メートル49センチを跳んで優勝し、順調な調整ぶりをみせました。

高松市で開かれているパラ陸上の国内最高峰の大会の1つ、「ジャパンパラ大会」2日目の25日は、女子走り幅跳び、義足のクラスにおととしの世界選手権で金メダルを獲得し、代表に内定している中西麻耶選手(35)が出場しました。

中西選手は1回目の跳躍でいきなり5メートル49センチの跳躍をみせました。

これは去年の日本選手権でみずからがマークしたアジア記録まで20センチに迫り、現在の世界ランキングで1位に相当する好記録です。

2回目以降の跳躍は踏み切りのタイミングが合わなかったため記録は伸びませんでしたが、世界女王としての貫禄をみせ、優勝しました。

1回目の跳躍での好記録は6メートル超えでの金メダル獲得をねらう東京パラリンピックに向けて順調な調整ぶりをうかがわせました。

逆境で進化する女王

おととしの世界選手権で金メダルを獲得し、世界女王として東京パラリンピックに臨む中西選手は、コロナ禍の逆境にあっても工夫を重ね進化を続けています。

去年、高齢の家族を感染から守るため、実家のある大分から大阪に練習拠点を移し、競技場が使えない間は公園や駐車場で練習を続けました。

それでも公園の不安定な地面で走りの練習をすることで義足で身につけることが難しいバランス感覚を磨けるとプラスに捉え、進化につなげました。

去年の日本選手権で中西選手が披露したのは、アジア記録を19センチ更新する5メートル70センチの圧巻のジャンプでした。

東京パラリンピックで目指すのは、パラリンピックでは義足の女子選手がまだ跳んだことのない6メートル。

あと30センチは簡単ではありませんが、コロナ禍で記録を伸ばした中西選手は確実に夢の大台、そして東京での表彰台を射程に捉えています。

中西「思っていたよりよい記録が出た」

女子走り幅跳び、義足のクラスの中西麻耶選手は「東京パリンピックに向けてスピードをあげる練習などやらなければいけないことを残しての試合だったが、この時期にしたら、自分が思っていたよりもよい記録がでた。あとは細かいところの調整をしようと思う」と振り返りました。

さらに東京パラリンピックの意義について問われると「私としてはどんな状況であっても100%のパフォーマンスをして、世界記録で金メダルをとってその姿を見てもらって、何かを感じてもらうということを徹底したい」と話していました。

担当記者が見た中西選手の充実ぶり

金メダルを獲得したおととしの世界選手権を上回る5メートル49センチの大きな跳躍を見せ、東京パラリンピックに向けて順調な調整ぶりを見せた中西麻耶選手。

試合の後、「手応えがあった跳躍は?」と尋ねると、返ってきたのは意外な答えでした。

踏み切りができずに砂場まで走り抜けてしまった3本目と、踏み切り位置が手前になり、距離が伸びなかった4本目だと言うのです。

「3本目は走りが、4本目は踏み切り動作がよかった」

失敗したジャンプによかった点を見いだすのは、結果を求め、焦りがあるときにはできないことです。

東京パラリンピックに向けた充実ぶりが伝わってきました。

その背景には何があるのか。

実は、中西選手、おととし、世界選手権で優勝するまで、長い不調に苦しんでいました。

「そろそろ、みんなに信用してもらえるアスリートになりたい。そう思ってあがいた1年だった」。

優勝直後には、そんな言葉がこぼれるほど、追い込まれていたのです。

しかし、世界女王という信用に値する結果を手にしたことで、大会後、中西選手のもとには、東京パラリンピックでの活躍を期待する声が数多く寄せられるようになりました。

そうした声こそ、中西選手が求めていたものです。

コロナ禍によって東京オリンピック・パラリンピックの開催が大きく揺らいでいる中でも、活躍を期待してくれる人たちの存在が支えになったといいます。

去年は、高齢の家族を感染から守るため、実家がある大分を離れざるをえなくなり、競技場が使えない時期もありました。

そんな逆境でも、公園の不安定な地面で走りの練習をすれば義足のバランス感覚を磨けるとプラスに捉え、記録更新につなげました。

「こんな状況でも前向きに取り組んでいる姿を見て、苦しい時期でも頑張ってみようという人の背中を押せたらと思う」

選手自身が感じている、「中西なら何かやってくれる」という期待感。

それが中西選手をますます強くし、東京パラリンピックで6メートルの大台に乗るビッグジャンプと表彰台をたぐり寄せられるのではないか。

そう強く感じさせられた大会でした。