インド 1日の感染者数 世界最多に 医療用の酸素が不足

新型コロナウイルスの感染が急速に広がり、1日の新たな感染者が30万人を超えるインドでは、各地の病院で医療用の酸素が不足する深刻な事態になっています。インドでは、23日に確認された新規感染者が33万人余りと、1日あたりの感染者としては、世界でもっとも多くなり、死者も国内では過去最多の2200人以上にのぼりました。

酸素不足で治療滞る

首都ニューデリーでは、各地の病院から、医療用の酸素が残り数時間分しかないなどとして、追加の供給を訴える声が相次いで上がり、酸素不足で治療が滞る深刻な事態になっています。

インド政府は、工業用の酸素の生産を減らし医療用に回すなどしていますが、患者の増加に追いついておらず、モディ首相はさらなる増産を指示しました。
こうした中、中部マディヤプラデシュ州では今月20日、新型コロナに感染した人の親族が、病院の倉庫から酸素ボンベを奪う事件も起きているということです。

今回の感染の急拡大の背景には、インドで新たに見つかった、2つの特徴的な変異をあわせ持ったウイルスの影響が指摘されています。

専門家によりますと、この変異ウイルスは感染力が強いおそれがあり、イギリスやシンガポール、カナダなどが相次いでインドからの入国を禁止しています。

専門家「変異ウイルスが感染拡大の主要因」

疫学が専門のインド公衆衛生財団のギリダール・バブ教授は、インドで新たに見つかった、2つの変異をあわせ持ったウイルスについて「変異によってウイルスと細胞の受容体が、鍵と鍵穴のように完璧に結合する。それによって感染力が強くなったようだ」と指摘しました。

そのうえで、データが十分ではないとしながらも「この変異ウイルスが急激な感染拡大の主な要因になっていることに疑いはない」と述べました。