屋外でマスクせず会話 飛まつ広がる 「富岳」シミュレーション

今回の緊急事態宣言では、対象地域で実施する対策の1つとして、路上や公園などでの集団での飲酒について、感染リスクが高い行動として注意喚起を行うとしています。スーパーコンピューター「富岳」のシミュレーションでは、屋外でもマスクをせずに会話すると、飛まつが広がるという結果になっていて、専門家は注意を呼びかけています。

屋外での会話でどういったリスクがあるのか、理化学研究所などのグループが最新のスーパーコンピューター「富岳」で、こうした場面での飛まつの広がりかたについて、シミュレーションを行っています。

シミュレーションでは、屋外で10人がテーブルを囲んで輪になって飲食している場面を想定しました。

向かい合う人どうしの間隔を1メートルとし、風が吹いていない無風の状態でマスクをつけていない人が30秒間、大声で話をした場合、正面の人とその両隣の3人が飛まつを浴びるという結果になりました。

また、毎秒0.5メートルのそよ風が吹いている場合は、小さな飛まつは周辺に広がり、正面や風下にいる人など合わせて6人が飛まつを浴びたということです。

大声を出す人がマスクをつけていた場合は、周りの人に飛まつがかかることはありませんでした。

グループでは、向かい合う人どうしの間隔を1.7メートルに広げた場合についても、シミュレーションを行いました。

その結果、風が吹いてない状態でマスクなしで大声を出すと、間隔が1メートルのときと比べて飛まつの量は半分に減ったものの、やはり正面とその両隣の3人が飛まつを浴びるという結果になりました。

シミュレーションをまとめた神戸大学教授で、理化学研究所の坪倉誠チームリーダーは「屋外であっても近づいて話し合うような場面では換気の効果は期待できず、風の吹きかたによっては、屋内よりも感染リスクが高い。人と接するときは、屋内でも屋外でもマスクを着用し、距離を取り合うなど対策を緩めないことが重要だ」と話していました。