【詳細】3回目の緊急事態宣言 どう変わる 4都府県の具体的措置

政府は、25日から来月11日までの期間、東京、大阪、兵庫、京都の4都府県を対象に緊急事態宣言を出すことを決定しました。

緊急事態宣言の発出にあたって、政府は、飲食の場面での対策をさらに強化することに加え、変異ウイルスの感染者が急増していることを踏まえ、人の流れを抑制する措置をとるなど、大型連休に合わせて徹底した感染対策に取り組むことにしています。
具体的には、緊急事態宣言の対象地域では、◇酒やカラオケ設備を提供する飲食店などに対して、休業要請を行うとともに◇それ以外の飲食店にも営業時間を午後8時までに短縮するよう要請するとしています。

そして、対象の都府県に対し、◇休業要請や営業時間の短縮の要請に応じていない飲食店などの利用を厳に控えるよう住民に徹底することや◇路上や公園での集団での飲酒といった感染リスクが高い行動に対し、注意喚起するよう求めています。
また、◇生活必需品を販売する小売店などを除き、百貨店やショッピングセンター、量販店や映画館など、建物の床面積の合計が1000平方メートルを超える多くの人が利用する施設には休業要請を行うほか、◇公立の施設の閉館や閉園を検討するよう求めています。
◇イベントについては、社会生活の維持に必要なものを除き、原則として無観客で開催するよう要請するとしていて、Jリーグやプロ野球なども含まれるとしています。

さらに、◇鉄道やバスなどの交通事業者に、平日の終電の繰り上げや週末・休日の減便のほか、主要ターミナルでの検温の実施などの協力を依頼するとしています。

このほか◇他の地域への感染拡大を防止する観点から、不要不急の都道府県間の移動は極力控えるように促すとしています。
また、◇在宅勤務の活用や大型連休中の休暇の取得を促すことなどで、職場への出勤者を7割削減することを目指すとしています。

そして、◇学校に一律の臨時休業は求めないとしていますが、部活動などで、感染リスクの高い活動は制限や自粛するよう要請するとしています。

大学などでは、遠隔授業も活用して、効果的に授業を実施し、学びの機会の確保を図るよう求めることにしています。

一方、医療提供体制を確保するため、◇政府が医療人材の派遣を支援するほか、◇感染が急拡大する際には、時限的に、一般医療を制限することも含め、感染症対応に必要な病床や宿泊療養施設を速やかに確保するとしています。

東京都 休業要請の協力金 1日最大20万円支給

東京都は、23日夜、対策本部会議を開き、25日から5月11日までの緊急事態宣言の期間中に行う措置を決めました。

このうち▼酒やカラオケ設備を提供する飲食店などに対しては休業を要請します。

これらを提供しない場合は午後8時までの営業時間の短縮を要請します。

この要請にすべての期間、応じた場合、規模や売上高などに応じて店舗ごとに1日あたり4万円から最大20万円を支給します。

▼デパートなどの大型商業施設は床面積の合計が1000平方メートルを超える場合、生活必需品を販売するエリアを除いて休業を要請します。

要請に応じた場合、▼大型商業施設には1日あたり20万円、▼施設内のテナントには1日あたり2万円をそれぞれ協力金として支給します。

また、▼劇場や野球場、それに遊園地などでイベントを行う場合は、社会生活の維持に必要なものを除き、原則、無観客での開催を要請します。

さらに、都民に対しては、▼日中も含めた不要不急の外出と移動の自粛に加え、 都道府県をまたぐ不要不急の移動は極力、控えるよう求めています。

このほか、▼床面積の合計が1000平方メートル以下の劇場や運動施設、博物館などには都独自に休業の協力を依頼し、この依頼に全面的に応じた場合は、都独自の支援金として1日あたり2万円を支給します。

都立高校 一律休校せず分散登校実施

緊急事態宣言の期間中、東京都教育委員会は、都立高校などで一律の休校は行わず、時差通学を徹底し、登校する生徒を3分の2以下におさえる分散登校を実施します。

都の教育委員会によりますと、25日から来月11日までの宣言の期間中、定時制や通信制、島しょ部の学校を除いた都立の高校と中高一貫教育校では、時差通学を徹底するとともに分散登校を実施します。

電車やバスで通学する生徒が多く通学時の感染リスクを抑え、分散登校によって生徒を3分の2以下にして校内でのリスクも抑えます。

特に、今月29日から来月9日の間は、オンラインで課題を配信したりホームルームを行ったりして、すべての生徒に自宅で学習してもらいます。

また、部活動や飛まつ感染の可能性の高い活動、それに、修学旅行などの宿泊を伴う行事については宣言の期間中は中止します。

さらに、小中学校に対しては変異ウイルスに対応するため感染対策の徹底や感染予防や感染への不安から登校できない児童生徒にはオンラインを活用するなどして個別に対応するよう求めるとしています。

小池知事 「危惧される感染爆発を抑え込む」

都の対策本部会議のなかで小池知事は「今後、危惧される感染爆発を抑え込んで都民の命を守っていくためには、まず第1に人流の抑制、第2に急所対策の戦略的強化、第3に備えの強化、この3本柱の対策を集中して強化していく必要がある。いま一度、一体となって難局に立ち向かっていきましょう」と述べました。

また、小池知事は午後9時すぎから臨時の記者会見を開きました。

このなかで、小池知事は「東京の人の流れを確実に抑えるため、都民の皆さんには、この宣言の期間中、徹底したステイホームをお願いしたい」と呼びかけました。

そのうえで、都内の感染状況について「新規感染者数はきょうも700人を超え、前の週からの増加率は130%近くとなっている。変異ウイルスの感染力の影響もあり、感染スピードは加速度的に上がっている状況で極めて危機的で、深刻と考えなければならない」と述べ、感染の急拡大に危機感を示しました。

そして「去年の大型連休を覚えていると思うが、ステイホームを続けていただいた。皆さんの協力によって、感染者数は劇的に減少したことを思い出してほしい。現下の危機的な状況の中で、いま一度、徹底して人の流れを抑える。そのためのステイホームを実践する17日間としていく」と述べました。

また、小池知事は「ステイホームをお願いするうえでのキーワードは『おさえる』で、都民や事業者の皆さんにも、このことばを常に心に刻んでいただきたい。外出、帰省、出勤を抑える。1人1人が積み重ねることで、自身はもとより、家族や大切な人への感染を抑えることができる。特に感染力が強い『N501Y』の変異があるウイルスに打ち勝つためには、これまで以上に抑えることへの意義を高めなければならない。ポイントを押さえた施策を推し進め、一刻も早くコロナを抑えるために全力を尽くしていく」と述べました。

さらに小池知事は、都民に対し「大型連休の旅行や帰省は中止または延期でお願いしたい。観光地や行楽地への外出も『なし』でお願いしたい。遠くの家族やお孫さんとは電話やオンラインで話していただきたい」と呼びかけました。

都外に住む人たちに対しては「エッセンシャルワーカーなどどうしても出勤が必要な人以外は、可能なかぎり、東京に来ないでいただきたい」と強調しました。

このほか、小池知事は、飲食の場面は感染リスクが高いとして、家族以外との会食は昼夜や屋内外を問わず控えることに加え、高齢者や学生の昼間のカラオケや、路上や公園での飲み会をやめるよう呼びかけました。

そして「バーベキューやホームパーティー、レンタルスペースでの飲み会も行わないでください」と具体的な例をあげて呼びかけました。

そのうえで「これまでの皆さんの努力が水の泡に帰さないためにも改めて力を結集していこう。『1年また続けてください』ということではない」と述べ、集中的な取り組みへの協力を重ねて呼びかけました。

一方、小池知事は「『去年も同じようなことを言っていたではないか』と言われるかもしれないが、現実に、変異ウイルスが以前より拡大し、治療薬もなく、ワクチンを待っている今は、素手でたたかっていくしかない」と述べました。

都内の運転免許試験場や警察署の更新手続きは変更なし

東京都内の運転免許試験場などでは、すでに免許更新の延長手続きや密を避ける対策が取られていて、今回、緊急事態宣言が出された後も変更はないということです。

感染拡大に伴い、都内の運転免許試験場や警察署などでは、運転免許の有効期間を3か月間、延長できる手続きが行われています。

また、通常の更新手続きについても講習の受講者をふだんより減らしたり、部屋の換気を行ったりして対応するということです。

東京都は鉄道各社に減便など要請

また東京都は、大型連休中の人の移動を徹底して抑えたいとして、JRや私鉄各社などに対して、減便や休日ダイヤを適用するよう協力を求めました。

東京都が要請を行ったのは、都内のJRや私鉄合わせて14社などで、今月29日から来月11日までの大型連休を含む期間中、鉄道の減便や、休日ダイヤを適用するよう求めています。

都は「変異したウイルスなど新型コロナの感染が急速に拡大していることから、交通事業者の協力を得て人の移動を徹底的に抑えたい」としています。

要請を受けてJRや私鉄各社は、対応を検討することにしています。

大阪 午後8時以降の勤務抑制を要請

大阪府は23日夜、対策本部会議を開き、吉村知事は「社会経済活動にも大きな制約が生じるが、現在の感染状況や医療のひっ迫の状況をみると、大阪で感染を抑えることが最も重要だ。府民や事業者に理解と協力を求めていきたい」と述べ、宣言に伴う府の措置を決定しました。

具体的には、府内全域で、▼酒類やカラオケ設備を提供する飲食店に休業を要請し、提供しない場合や、それ以外の飲食店には夜8時までの時短要請を行います。

また、▼生活必需品を販売する小売店などを除き、建物の床面積の合計が1000平方メートルを超え、多くの人が利用する施設には休業を要請します。

▼イベントは、規模や場所に関わらず無観客での開催を要請します。

府民に対しては、▼通院や食料品の買い出しなどを除く不要不急の外出の自粛や、▼路上や公園などで集団で飲酒しないことを呼びかけます。

経済界に対しては、▼事業の継続に必要な場合を除いて、午後8時以降の勤務を抑制することや、▼防犯に必要なものを除いて、夜間の屋外の照明を消すことを要請します。

さらに、公共交通機関に対しては、▼土日と祝日の減便や、▼平日の終電時刻の繰り上げ、それに、▼主要なターミナルでの検温の実施を依頼することにしています。

吉村知事 「いま強い措置をとらないといけない」

大阪府の対策本部会議のあと、吉村知事は、記者団に対し「社会経済活動に与える影響は大きいとじゅうじゅう承知しているが、府内の感染状況や医療のひっ迫状況を踏まえ、いま、強い措置をとらないといけない。府民の命を守るため、ご協力をお願いしたい」と述べ府民や事業者に対し、府の措置への理解と協力を求めました。

一方、吉村知事は、記者団が、緊急事態宣言を解除する基準を質問したのに対し「具体的に、『これになったら終了だ』と言えるような状況ではない。一定の時期が来たときに、出口をどうするかという議論は行う必要があるが、いま、解除や出口の議論をすること自体が誤ったメッセージになる」と述べました。

兵庫 県外の修学旅行や部活動など中止

兵庫県は、対策本部会議を開き、宣言に伴う措置を決定しました。

措置は、県内全域に適用され、▼酒やカラオケ設備を提供する飲食店などに対して、休業要請を行います。

また、▼酒を提供しない飲食店にも営業時間を午後8時までに短縮するよう要請します。

さらに、▼生活必需品を販売する小売店などを除き、建物の床面積の合計が1000平方メートルを超える施設にも休業要請を行います。

▼イベントは、原則、無観客での開催を要請します。

一方、▼県立学校について、一斉休校は行わないものの県外での修学旅行や部活動などは中止するとしています。

そして、県民に対し▼日中も含めた不要不急の外出・移動の自粛、▼混雑している場所や時間を避けて行動すること▼路上や公園などでの飲酒を自粛することなどを呼びかけることを確認しました。

兵庫県内では、感染者の発生状況に地域差があることから、県は、措置の適用範囲を検討していましたが、大型連休中に人の移動を抑制し、強力な措置で、感染を抑え込む必要があるとして県全域への適用を決めました。

井戸知事 「全域で人の流れを抑制する必要ある」

兵庫県の井戸知事は対策本部会議のあと記者会見し、「各地で感染者が増加傾向であり、警戒を要する。人の流れを抑制する必要があり、路上での集団での飲酒など感染リスクが高い行動をしないよう強く呼びかけたい」と述べました。

また、今回、措置を県内全域に適用した理由について、「各地の感染状況を勘案すると地域差を設けるほどの極端な差があるとは言えない。さらに、差を設けることによって人の流れが生じてしまうおそれがあり、今回は全域を対象にした」と説明しました。

京都 中学校や高校 クラブ活動2時間以内と要請

京都府は、23日夜、対策本部会議を開き、25日から来月11日までの宣言の期間中に実施する措置を決めました。

対象地域は府内の全域とし、▼酒やカラオケ設備を提供する飲食店などに対して休業要請を行うとともに、▼提供しない場合やそれ以外の飲食店にも営業時間を午後8時までに短縮するよう要請します。

また、▼生活必需品を販売する小売店などを除いて建物の床面積の合計が1000平方メートルを超え多くの人が利用する施設には休業要請を行います。

対象となる大型施設は百貨店やスーパー、映画館、博物館、美術館、ライブハウスなどです。

▼イベントは無観客での開催以外は休止を要請します。▼府民に対しては、不要不急の外出の自粛や都道府県間の移動を控えること、それに、路上や公園での集団での飲酒を行わないことなどを求めています。

また、▼大学にはオンライン授業を積極的に活用すること、▼中学校や高校にはクラブ活動を2時間以内とすることを要請するなど、感染対策の徹底を求めています。

さらに、地下鉄やバスなどには平日の終電の繰り上げや週末や休日の減便などの協力を依頼するとしています。

西脇知事 「一気に抑え込むことが大事」

京都府の西脇知事は、対策本部会議のあと記者会見し、府内全域で措置の適用を決めたことについて、「感染状況が当初は北部とそれ以外とは差があったが、じわじわと府内全体に広がってきている。感染をできる限り一気に抑え込むことが大事だと考えた」と述べました。

そのうえで25日から措置が始まることについて「大型連休を控えてなるべく早く措置を取ることが望ましいのは間違いない。ただ、措置の中身を決めたのは非常に短い時間だったので、丁寧な周知に努めたい」と述べました。

宣言の解除の見通しについては、「国の分科会が示すステージ3の指標が1つの目安になると思うが、いま出口の話を明確に述べることは難しい。それに大阪や兵庫の動向も視野に入れる必要がある」と述べました。

また飲食店などへの時短要請に対する協力金については売り上げなどに応じた支援が続くという見通しを示す一方で、商業施設への休業要請などに対する支援については、「国でこれまでと違う枠組みが示される予定で、そのうえで府として仕組みを構築したい」と述べました。

緊急事態宣言とは

緊急事態宣言は、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく措置です。

全国的かつ急速なまん延により、国民生活や経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある場合などに、総理大臣が宣言を発出し、措置を講じる期間や区域を指定します。

対象地域の都道府県知事は、◇住民に対し、生活の維持に必要な場合を除いて、外出の自粛をはじめ、感染の防止に必要な協力を要請することができます。

また、◇特に必要がある場合は、臨時の医療施設を整備するために、土地や建物を所有者の同意を得ずに使用できるほか、◇緊急の場合、運送事業者に対し、医薬品や医療機器の配送の「要請」や「指示」ができ、◇必要な場合は、医薬品などの収用を行えます。

行政罰として30万円以下の過料

そして、◇都道府県知事は、百貨店や映画館など多くの人が集まる施設の使用制限の「要請」に加え、ことし2月の特別措置法の改正によって、正当な理由なく応じない事業者などには「命令」ができるようになり、「命令」に応じない事業者への行政罰として、30万円以下の過料が設けられました。