東京 大阪 兵庫 京都に緊急事態宣言の方針 政府分科会が了承

新型コロナウイルス対策で、専門家でつくる分科会は、4月25日から5月11日までの期間、東京、大阪、兵庫、京都の4都府県を対象に、緊急事態宣言を出すとともに、愛媛県に「まん延防止等重点措置」を適用する政府の方針を了承しました。

新型コロナウイルス対策をめぐり、感染症などの専門家でつくる政府の「基本的対処方針分科会」は、23日午前、西村経済再生担当大臣らが出席して開かれました。

この中で、西村大臣は「大阪、兵庫、京都では、多くの指標が『ステージ4』相当で、特に変異株が8割を超えている。東京も新規陽性者の増加傾向が続き、5月には、ほぼ変異株に置き換わるということで、感染の急拡大もありえると懸念している。これまで以上の強い措置をとらないと、感染力の強い変異株を抑えられないという極めて強い危機感を持っている」と述べました。

そのうえで、4月25日から5月11日までの期間、東京、大阪、兵庫、京都の4都府県を対象に、緊急事態宣言を出すとともに、愛媛県に「まん延防止等重点措置」を適用する方針を諮り、愛媛県の「重点措置」は松山市が対象になるという見通しを示しました。

また、すでに「重点措置」が適用されている宮城県と沖縄県について、5月5日までの期限を11日まで延長する方針も諮りました。

そして、西村大臣は「大型連休の機会を捉え、感染拡大を抑えていくためにも、去年の春と同じように『ステイホーム』を強くお願いしたい。短期集中的な取り組みによって、何としても感染拡大を抑え込んでいきたい」と述べ、国民に協力を呼びかけました。

このあと分科会では、こうした政府の方針について議論を行い、了承しました。

政府は、午後からの国会での報告と質疑を経て、今夜の対策本部で宣言の発出などを決定することにしています。

宣言が出されるのは、去年4月、ことし1月に続いて3回目で、政府は、仕事や学校が休みになる人が多い大型連休に合わせて、より強い対策を集中的に講じることで、人の流れを減少させ、感染を抑え込みたい考えです。

分科会 尾身会長「感染減なければ延長も」

「基本的対処方針分科会」の尾身茂会長は会合のあと報道陣の取材に応じ、緊急事態宣言について政府が示した方針を了承したと述べました。

そのうえで「変異株の広がりもあり、強い措置が必要だということには、誰も反対しなかった。5月11日になったら、無条件に解除するということではなく、状況がステージ3相当になっていることが解除の最低条件になるというのが分科会の一致した意見だ。期限までにステージ3になっていなければ延長もあり得るということだ。解除についても、急に緩めれば人流が増えてしまうので、しっかりと対策を打ったり、検査をやったりするなど、無条件に解除ということはない」と述べました。

西村経済再生相「去年の春と同等 それ以上に強い措置を」

西村経済再生担当大臣は、分科会のあと記者団に対し「関西圏の医療が非常に危機的な状況にあり、これを抑えていくことが大事だ。東京は、まだ、医療は、そこまでひっ迫していないが、大阪の状況を見れば、そういう状況になってもおかしくないほどの変異株の感染力の強さだ。医療のひっ迫を何としても避けるための緊急事態宣言だ」と述べました。

そのうえで「大型連休の機会を捉えて、去年の春と同等か、あるいは、変異株のことを考えれば、それ以上に強い措置を取らなければならない。国民の皆さんにも、ぜひ、ご理解をいただいて、不要不急の外出自粛を強くお願いしたい。経済界にも、出勤者の数をできるだけ減らすというテレワークと休暇取得の促進を含め、協力をお願いしたい」と述べました。

日本医師会 釜萢常任理事「無条件解除にはならない」

日本医師会の釜萢敏常任理事は、記者団に対し「来月11日になっても感染者数は急には下がらないだろう。大型連休中は検査数が減るため正確な感染の把握が難しく、きちんと評価するのは難しいと思うので、そのことも留意しないといけない」と述べました。

そのうえで「感染者数が下がるだけではダメで『ステージ3』から『ステージ2』に安定して向かわなければならず、設定した日時になれば無条件に解除するということには決してならない。解除により、リバウンドしてさらに状況がひどくなるのが最悪の事態であり、それは避けなければならない」と述べました。

慶應義塾大学 竹森教授「大阪に重点的にワクチンを」

経済の専門家として分科会の委員を務める、慶應義塾大学の竹森俊平教授は、記者団に対し「ワクチンが届くタイミングと感染症対策を合わせて考える必要があり、接種体制を早めていくことが鍵になる。来月になると、本格的にワクチン接種ができるようになるが、体制に問題がある。大阪は医療崩壊に近いが、医療従事者が感染すれば、人員の不足はさらに深刻になる。医療従事者のリスクが高いので、大阪に重点的にワクチンを投入することを考えてはどうか」と述べました。