緊急事態宣言「基本的対処方針」変更 酒提供飲食店に休業要請

緊急事態宣言の発出に伴い、政府は、新型コロナウイルス対策の「基本的対処方針」を変更することにしていて、酒を提供する飲食店には休業を要請するほか、地下鉄やバスなどの終電繰り上げや減便などを盛り込むことにしています。

今回変更される基本的対処方針の案では、飲食の場面での対策をさらに強化することに加え、変異ウイルスの感染者が増加していることを踏まえ、人の流れを抑制する措置をとるなど、徹底した感染対策に取り組むとしています。

具体的には、緊急事態宣言の対象地域では、
▽酒やカラオケ設備を提供する飲食店などに対して休業要請を行うとともに、
▽それ以外の飲食店にも営業時間を午後8時までに短縮するよう要請するとしています。

そして、対象の都府県に対し、休業要請や営業時間の短縮の要請に応じていない飲食店などの利用を厳に控えるよう住民に徹底することや、路上や公園での集団での飲酒といった感染リスクが高い行動に対し注意喚起するよう求めています。

また、
▽生活必需品を販売する小売店などを除き、百貨店やショッピングセンター、量販店や映画館など、建物の床面積の合計が1000平方メートルを超える多くの人が利用する施設には休業要請を行うほか、
▽公立の施設の閉館や閉園を検討するよう求めています。

イベントについては、社会生活の維持に必要なものを除き、原則として無観客で開催するよう要請するとしていて、Jリーグやプロ野球なども含まれるとしています。

さらに、鉄道やバスなどの交通事業者に、平日の終電の繰り上げや週末・休日の減便のほか、主要ターミナルでの検温の実施などの協力を依頼するとしています。

このほか、他の地域への感染拡大を防止する観点から、不要不急の都道府県間の移動は極力控えるように促すとしています。

また、在宅勤務の活用や大型連休中の休暇の取得を促すことなどで、職場への出勤者を7割削減することを目指すとしています。

学校に一律の臨時休業は求めないとしていますが、部活動などで感染リスクの高い活動は制限や自粛するよう要請するとしています。

大学などでは、遠隔授業も活用して、効果的に授業を実施し、学びの機会の確保を図るよう求めることにしています。

一方、医療提供体制を確保するため、政府が医療人材の派遣を支援するほか、感染が急拡大する際には、時限的に一般医療を制限することも含め、感染症対応に必要な病床や宿泊療養施設を速やかに確保するとしています。

政府は「基本的対処方針」の変更案について、専門家からも意見を聴いたうえで、23日夜開く対策本部で決定することにしています。

加藤官房長官 「私権制限の程度を超えること踏まえ判断」

加藤官房長官は閣議のあとの記者会見で、緊急事態宣言の対象地域で、酒やカラオケ設備を提供する飲食店などに休業要請を行うことに関連して「『隣の地域に行こう』という流れになることに対し、埼玉、千葉、神奈川の知事から『まん延防止等重点措置』のもとでも飲食店に酒類を提供しないなどの措置を要請できるようにすることが必要だという要望をいただいた。専門家から、感染リスクが高まる場面として、飲酒を伴う懇親会などが示されたことを踏まえ、酒類提供の停止などを新たに規定した」と述べました。

その上で、記者団が「私権制限の内容が増えたり、強めたりすることへの懸念もあるが」と質問したのに対し、加藤官房長官は「もちろん法律で規定されている私権制限の程度を超えることは法律的に支障があるのではないかと思うが、そうしたことを踏まえて、判断させていただいている」と述べました。