“コロナで解雇は不当”元客室乗務員80人余りが航空会社を提訴

新型コロナウイルスの影響による業績悪化を理由に解雇された、アメリカの大手航空会社、ユナイテッド航空の元客室乗務員80人余りが、解雇は一方的で不当だとする訴えを起こしました。

22日から始まった裁判で、会社側は訴えを退けるよう求めました。

裁判を起こしたのは、アメリカの大手航空会社、ユナイテッド航空の元客室乗務員で、成田空港を拠点に働いていた日本人やシンガポール国籍の人など83人です。

訴えによりますと、新型コロナウイルスの感染拡大による業績の悪化を理由に、去年10月に成田空港の拠点などが閉鎖され解雇されました。

元客室乗務員らは、会社側が解雇を回避するための努力をしなかったうえ、「感染が収束すれば業績は近い将来改善が可能で、解雇は一方的で不当だ」として、雇用を続けることや賃金の支払いを求めています。

22日、東京地方裁判所で初めての弁論が開かれ、元客室業務員の後藤智子さんが意見陳述し、「仕事を大変誇りに思い、働いてきました。しかし、会社から具体的な内容を知らされることなく解雇されるなど、不誠実な対応で受け入れることはできません」と訴えました。

これに対してユナイテッド航空は「裁判の管轄は日本ではない」と主張したうえで、解雇は不当だとする訴えについても退けるよう求めました。

「悔しい思いを知ってほしい」元客室乗務員

訴えを起こした元客室乗務員や弁護士は、裁判のあと記者会見を開きました。

それによりますと、成田空港を拠点に働いていて解雇された客室業務員は83人の原告を含めて、合わせて270人に上るとみられるということです。

会見の中で23年間、客室乗務員として勤務した五島裕子さんは「私たちの気持ちを会社にきちんと伝えなければ、今回の解雇が当然のことのようにされると思い裁判を起こしました。どれだけ悔しい思いをしているか知ってほしい」と話していました。

裁判についてユナイテッド航空は、NHKの取材に対して「弊社としてコメントは差し控えさせていただきます」としています。