国の災害備蓄食品 生活困窮者に無償提供 孤独や孤立支援活用も

新型コロナウイルスの影響で深刻化している孤独や孤立の問題の対策につなげようと、国は中央省庁が災害用に備蓄している食品の一部を、生活に困っている人たちを支援する団体などに、無償で提供していくことになりました。

これは22日、政府で孤独や孤立の問題を担当する坂本一億総活躍担当大臣と面談した井上消費者担当大臣が明らかにしました。

それによりますと中央省庁では、米や飲料水など災害用の食品を合わせて100万食余り備蓄していて、賞味期限が迫ったものから毎年、およそ5分の1ずつを入れ替えていますが、その際、まだ食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」となるケースも多かったということです。

このため食品ロスにつながる食品を有効活用してもらおうと、子どもたちに食事や居場所を提供する「子ども食堂」や「フードバンク」など、孤独や孤立の問題に取り組む団体などに、これまで廃棄されていたものについては原則として提供することを、すべての中央省庁で申し合わせたということです。

こうした取り組みは、これまで消費者庁や農林水産省、それに文部科学省が個別に行っていましたが、すべての中央省庁が連携して実施するのは初めてで、地方にある国の機関などにも順次、広げていくとしています。

また来月には、今後、提供される可能性のある備蓄食品の種類やその提供時期などの情報を、誰でも確認できるポータルサイトの運用を始める見通しです。

面談の中で井上大臣は「フードバンク団体から非常に喜んでいただいている取り組みなので、民間などにも広げていきたい」と述べました。

これに対して坂本大臣は「食品ロス削減だけでなく、孤独・孤立の予防のための大きな運動にしていきたい」と述べました。