3回目の緊急事態宣言 専門家「市民と危機感の共有が重要」

3回目の緊急事態宣言について、厚生労働省の専門家会合のメンバーで国際医療福祉大学の和田耕治教授は「関西では、2月末で2回目の緊急事態宣言が解除されたあと、年度末と重なって人出が増えたところに変異株が広がるなど、いくつもの要因が重なり、予想を超える速度で感染が広がった。また、まん延防止等重点措置も初めての適用だったこともあり、判断が遅れた。さらに重点措置を適用した以上はその効果を見極めないといけないということで、より厳しい措置に切り替えるタイミングも遅れてしまったと言わざるをえない」と指摘しました。

また、東京については「早い段階で変異株に置き換わることが想定されているが、人の移動の中心になっている東京で広がれば、国内のほかの地域でも感染拡大のスピードが速くなり、クラスターの規模も大きくなるおそれがある。東京でもこのタイミングで緊急事態宣言を出さなければ、これから起きてくる感染者の増加に対処できないと思われる」と話しています。

そのうえで、求められる対策について「緊急事態宣言と言っても、日本では基本的に要請ベースで、他国と違って強制力が小さいので、市民と危機感を共有し、なぜ対策が必要なのか理解してもらうことが極めて重要だ。変異株は感染力が高く、若くても重症化する人が増加していることなどから、医療界には今までとは全く違う感染症と考えるくらいでなければ感染拡大を抑えられないという危機感がある。そうした危機感を多くの人と共有しながら、去年4月に行われたような強い対策で、大型連休の機会を生かして、接触の機会を大きく減らす必要がある」と訴えました。

関西「医療がひっ迫する状況が続くとみられる」

医療体制のひっ迫が深刻な関西の状況について、和田教授は「関西では、夜間の人流は低下しているが、日中を中心に十分には減少していないのが実情だ。感染増加のペースは少し緩み始めているが、まだピークは迎えておらず、今後も増加が続くと考えられる。仮に減少に転じたとしても、重症者数のピークは遅れてくることから、来月下旬ごろまでは医療がひっ迫する状況が続くとみられる」と指摘しました。

そのうえで「大阪を中心として、救急医療がかなり制限を受けていて、心臓病や交通事故など新型コロナ以外の病気やけがの治療がいつもより受けにくくなっている。災害のような事態に直面して、医療従事者も限界にきているので、感染者がもう増えないという見通しがなければ、気持ちの面でもこれ以上、事態に立ち向かえなくなってしまう。自分や家族が十分に治療を受けられなくなるおそれがあるという危機感を持って、徹底的に接触を減らし感染者数を減少させる取り組みが求められる」と話しています。