企業の“多様性” いま重視される理由は…

企業の“多様性” いま重視される理由は…
今、さまざまな場で女性や障害者、外国人など、多様な人材を活用することが求められていますよね。日本での取り組みはどうなっているのでしょうか。

“女性の働きやすさ”は…

「女性の働きやすさ」の視点で見てみると、2021年3月、イギリスの経済誌が発表したランキングによれば、日本は主なOECD加盟国のうち29か国中、28位でした。企業の女性管理職や女性議員の少なさなどが理由に上げられています。

そうした中、多様な人材をいかそうという企業のユニークな採用方法が2020年の中学入試に出題されました。

問題に挑戦!

問題
ある会社が18歳以下の「CFO」を募集する広告を出していました。CFOとは一般的には最高財務責任者のことを指しますが、この会社では「最高未来責任者」のことを指します。若い人の柔軟な考えや、今の会社が抱える問題を未来に生きる自分の問題として解決しようとする姿勢を会社の経営に生かそうと考え18歳以下のCFOを採用することに踏み切ったようです。
このように、さまざまな人材を積極的に活用しようとする考え方を何といいますか。正しいことばを、ア~エから1つ選び、記号で答えなさい。

ア ボランティア
イ ダイバーシティー
ウ バリアフリー
エ デモクラシー

(東洋大学京北中学校 2020年 改題)
答えは、イの「ダイバーシティー」、すなわち「多様性」。
18歳以下の最高責任者とは大胆ですね。
多様な人材をどう生かすのか。CFOを採用した企業を取材しました。

多様性を尊重する企業

都内のベンチャー企業です。
藻類のミドリムシの培養などを手がけ、環境に優しい燃料や健康食品、化粧品を製造・販売しています。
こちらはパラアーチェリーの元日本代表の社員。
人事の経験を生かして働いています。
そして中国籍の社員は、海外市場に向けた営業などで活躍しています。
会社では社員のおよそ4割が女性で、取締役もいます。

なぜ多様性を重視するのでしょうか?
出雲社長
「いろいろな才能、いろいろな特技、自分ひとりでは気付かない、似ていない視点を持ってきてくれる人が集まらないと、本当に変化の激しい時代で生き残れない」

多様性を象徴する役職“CFO”

会社では2019年、多様性の象徴ともいえる新たな役職を設けました。
それが18歳以下の「CFO=最高未来責任者」。経営への提言や意思決定を行います。会社では、CFOの提言を必ず実行すると決めています。
初代のCFOに選ばれた小澤杏子さんです。
小澤さんが提案したのは、「商品に使う石油由来のプラスチックの使用量を2021年までに50%削減すること」。
小澤さん
「世の中には、さまざまな環境問題がありますが、私はその中でも特に二酸化炭素が地球に与える影響に対して、大きな問題意識を持っています」
プラスチックの削減は会社の課題でしたが、売り上げが減ることへの懸念や取引先への配慮などから決断できなかったといいます。
出雲社長
「『プラスチック削減しなきゃいけない』とわかってるんですよ大人は。でも『今やらなくてもいいよね』とか、『お金がもったいないよね』とか、いろいろな言い訳がすぐそろって、大人は結局何もやらないんですよ」
会社ではペットボトルの商品を全廃し、紙の容器に変更。売り上げは落ちず、2021年中に削減目標を達成できる見通しです。
出雲社長
「やらないとわからない、絶対わからない。長い目で見たら、われわれのやり方が、必ずお客さまに受け入れられる。どんどんそういう方向に会社一丸となって向かっています」

今 CFOが取り組んでいる課題

2020年からCFOを務めるのが、大阪の学校に通う川崎レナさん、15歳です。
川崎さんは会社に根づいてきた「多様性を尊重する風土」をさらに深めたいといいます。
川崎さん
「女性の比率を上げただけでは何も変わらないし、性的マイノリティーの人を入れただけでは何も変わらない。周りのプレッシャーがないまま意見を言える場が、最終的なゴールなのかなと思います」
多様な社員が良い環境で働けるよう、社員の人権意識などを一層高めたいと考えています。
川崎さん
「『みんなを幸せにできる施策』を考えています。マイノリティーの方たちの声や、メンタルヘルス、見えない健康、そういうのがどんどん会社の中で、そして社会の中で伝わっていけばいいという課題を持っています」
出雲社長
「今はあした何が起こるかわからない。そういう時代では、似ている人で、似ている仲間で集まることが逆に危険になってしまう。多様性を根っこに、いちばん大事なものだと、今の時代はいちばん大切なものだと確信して取り組んでいます」

進めるために重要なこととは

企業が多様性を重視する動きはほかにもあります。
例えば、「KDDI」では、同性パートナーとの子どもについて、育児休職や看護休暇を認めています。
愛知県の中小企業「大橋運輸」では、外国籍の社員が働きやすいよう通訳を確保し、帰省する際の旅費を補助しています。
企業のダイバーシティー、多様性に詳しい中央大学の佐藤博樹教授は、多様性を進めるためには残業が前提の働き方や、同じような考え方を求める風土など、日本の企業に見られる制度や慣行を改革することが重要だと話していました。
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