22日から気候変動サミット 温室効果ガス対応 日本企業の動きは

アメリカのバイデン大統領が呼びかけた気候変動サミットが22日と23日に開かれます。日本や中国など40人の世界のリーダーが招待されていて、各国が、温室効果ガスの削減などで踏み込んだ目標を示すかが焦点になります。

「脱炭素社会」に向けた機運が国際的に高まる中で、日本企業の間では、取引先を含めたサプライチェーン全体で温室効果ガスの排出量を算定し、削減を目指す取り組みが増えています。

国連などは、科学的な根拠をもとに温室効果ガスの削減に取り組む企業を認定する「SBT=サイエンス・ベースド・ターゲット」と呼ばれる仕組みを2015年から始めています。

認定を受ける企業がこのところ増えていて、ことし3月末の時点で世界全体で643社と、1年前の2倍以上になっています。

このうち日本企業は95社で、1年前から37社増えました。

認定を受けるには、取引先を含むサプライチェーン全体で温室効果ガスの排出量を算定し、自社の削減目標や取引先を含めた削減目標を設定する必要があり、算定などを支援する名古屋市の企業には、月に40件ほどの問い合わせが来ています。

地球温暖化対策をめぐっては対策が不十分な国からの輸入品に排出量に応じて課税する「炭素国境調整措置」と呼ばれる制度がEU=ヨーロッパ連合で議論されていて、こうした規制の流れが強まるとみて対応を急ぐ企業が多いということです。

算定などを支援する「ウェイストボックス」の鈴木修一郎代表は、「5年、10年の時間軸で求められると思っていた対策が1、2年で必要になる状況になっていて、企業の危機感が高まっている。大手だけでなく中小企業への支援も取り組んでいきたい」と話しています。

サプライチェーン全体で排出量削減目指すメーカーは

石川県小松市に本社があるオフィスなどで使われるパーティションの製造メーカー、「コマニー」は、去年4月にSBTの認定を受けました。

認定を受けるにあたって会社は、グループの工場や事務所、合わせて33か所を対象に使われている電力やガソリンの量などをもとに二酸化炭素の排出量を算定しました。

そして、鋼板やアルミニウムといった材料の仕入れ先や運送会社など、2000社余りの取引先にまで算定の対象を広げました。

そのうえで、自社の排出量について、2030年までに、2018年に比べて半減させるという目標を立てたほか、サプライチェーン全体での排出量削減に向けて、主要な取り引き先130社に対しても削減目標を立てることなどを要請しています。

会社は、自社の排出削減のため建物の屋上に太陽光パネルを設置したり、工場にエネルギー管理のシステムを導入して効率化を図ったりする取り組みを進めています。

一方で、一部の取引先からは、「排出量の削減には前向きに取り組むが、高い水準までは難しい」といった声もあるということで、サプライチェーン全体で大幅に排出量を減らすには粘り強い取り組みが必要だとみています。

コマニー品質環境推進本部の坂本豊伸本部長は「1回ではだめでも複数回対話を重ねることで理解が得られる例もある。他社の経営に関わりコストもかかることなので簡単なことではないが、地球環境を守るため、そして、環境対応を競争力の向上につなげるためにも必要だと考えている」と話していました。

背景に「炭素国境調整措置」の導入議論

企業が排出量の算定などを急ぐ背景には、地球温暖化対策として、貿易の際に、排出量に応じて関税などをかける制度の導入が世界で議論されていることがあります。

それが、「炭素国境調整措置」と呼ばれる制度です。

温暖化対策が不十分な国からの輸入品を対象に排出量に応じて課税するといったもので、EUは、ことし6月にも具体的な内容の提案を明らかにする予定です。

また、アメリカのバイデン政権も、先月公表した貿易政策の指針の中で、同じような措置を検討するとしています。

ただ「炭素国境調整措置」をめぐっては、一方的に関税などをかけることで保護主義的な政策になりかねないとの指摘も新興国などから出ています。

日本では、経済産業省の研究会が、現時点では導入を前提とせず、国際的な貿易ルールとの整合性や今後の議論の状況などを見極める方針を確認しています。