新型コロナ 専門家会合「大型連休 感染抑える必要」

新型コロナウイルスの感染拡大の第4波で大阪府が緊急事態宣言を出すよう国に要請する方針を決めた中、対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれました。

関西や首都圏、中京のほか、多くの自治体で感染者数の増加率が高い水準が続き、特に関西では重症者数が急速に増加し、すでに医療体制が非常に厳しい状況になっているとして、今月末からの大型連休の期間を捉えて感染を抑える必要があるとしています。

専門家会合は、現在の感染状況について新規感染者数の増加率は高い水準が続き、先月下旬以降、重症者の数も急速に増加しているとしています。

この中で、関西では、感染力の高い「N501Y」の変異があるウイルスへの置き換わりが進み、大阪府や兵庫県だけでなく周辺の府県でも感染者が増加していて、家庭内や職場、部活動やサークル活動などでの感染が見られるとしています。

特に大阪府では40代、50代の重症者の割合が増えており、医療体制がすでに非常に厳しい状況になっている中で、重症者用の病床や医療従事者の確保が最優先で求められるとしています。

一方、首都圏では東京都で変異ウイルスの割合がおよそ3割と増えている中で、繁華街での夜間の人出の減少傾向は限定的で、「まん延防止等重点措置」の効果はまだ明らかではなく、関西のような急速な感染拡大が起きる可能性があり、ほかの地域への影響も大きいため人の接触と移動を減らす対策の強化が必要だとしています。

首都圏の医療体制についても、東京都で施設での療養先や入院先が決まらず、調整中となる患者の数が増加し始めていて、今後、負荷が増大することが懸念されるとしています。

他の地域でもクラスターの発生などで感染者数が急速に増加する地域や増加が続く地域があり、20代、30代を中心とした感染拡大の傾向が全国的に見られているとしています。

その上で専門家会合は、「大型連休の期間を捉えて感染を抑える必要がある」として、特に感染が拡大している地域では夜間の飲食の場だけでなく、職場や部活・サークル活動の場での感染対策、それに人の流れを減らす取り組みが求められるとしています。

脇田座長 「より強い対策が必要」

脇田隆字座長は「大阪府では重点措置の適用に伴う飲食店の時短営業の効果で、今月初めからは夜間の人の流れがある程度減ってきているが、感染を収束の方向に向かわせるまでの効果は見られていない。感染者数の増加は続いており、医療提供体制への負荷が高く、すぐに感染者数を減らす対策が必要だ」と述べました。

また、首都圏については「東京都は感染が増加してきている状況で、第3波が去年の11月中旬から年末にかけて急拡大したことを考えると、より強い対策を打つ必要がある。これまでの夜間の飲食の場だけではなく、部活やサークル活動、職場での対策など感染が広がっている場所でのクラスター対策などを徹底していく必要があると考えている」と話しています。

さらに変異ウイルスへの対策について「感染力が強いため、従来は抑え込めたものがより強い対策を実施しないと感染状況の改善が見込めないという部分がある。ただ、感染対策としては繰り返し言われてきたように、マスク着用や手洗いの徹底、3密のような感染リスクの高い場面を避けることなどが重要だ。そこは変異ウイルスでも変わることはないと考えている」と話しています。

東京では半数程度は変異ウイルスに

感染力が強い、変異した新型コロナウイルスについて国立感染症研究所の鈴木基感染症疫学センター長は「変異ウイルスへの置き換わりの速度が明らかに変わったとは考えていないが、各地で確実に置き換わりが進んでいることは間違いない」と述べました。

大阪府や兵庫県では変異ウイルスがすでに主流になっているとした上で、首都圏での状況について「東京都ではおおむね半数程度は変異ウイルスに置き換わっている状況で、神奈川県や埼玉県、千葉県でも東京都に比べれば少し遅れているが、半数近くが変異ウイルスに置き換わっているという状況だと思われる」と指摘しました。