中国 習主席「ルール押しつけるべきでない」アメリカをけん制

中国の習近平国家主席は、中国南部で開かれている経済フォーラムにビデオメッセージを寄せ、対立するアメリカを念頭に「1つ、あるいは数か国が決めたルールを他国に強制的に押しつけるべきではない」などと、けん制しました。

習近平国家主席は20日、中国南部の海南島で開かれている経済フォーラム「ボーアオ・アジアフォーラム」にビデオメッセージを寄せました。

この中では、アメリカのバイデン政権が同盟国などと連携して中国に対抗する姿勢を強めていることを念頭に「1つ、あるいは数か国が決めたルールを他国に強制的に押しつけるべきではない」と述べました。

そして、中国との経済的なつながりを切り離す「デカップリング」と呼ばれる動きに触れ「人為的なデカップリングは経済秩序や市場のルールに反し、誰にも利益をもたらさない」とし、ハイテク分野などで中国に頼らないサプライチェーンの構築を図るバイデン政権の動きをけん制しました。

さらに「いかなる形の『新冷戦』やイデオロギーの対立にも反対すべきだ。傲慢な態度で内政に干渉することは人心が得られない」とも述べました。

一方で習主席は、新型コロナウイルスのワクチン生産や気候変動対策で国際協力を推進していく考えを強調しました。

先の日米首脳会談の共同声明でおよそ半世紀ぶりに台湾に言及したことなどに直接触れることはありませんでしたが、今回の演説は、アメリカへのけん制とともに、中国への国際社会からの警戒感を和らげる意図があったとみられます。

“中国版ダボス会議”「ボーアオ・アジアフォーラム」

「ボーアオ・アジアフォーラム」は、中国が主導して世界経済を中心に、さまざまなテーマで議論を行う国際的なフォーラムで、毎年スイスで開かれるダボス会議にならって、“中国版ダボス会議”とも呼ばれています。

2002年以降、年に1度、中国南部の海南島にあるリゾート地、ボーアオで開催されてきましたが、去年は新型コロナウイルスの影響で開催が見送られました。

ことしは、18日からアジアを中心に60余りの国や地域から政府高官や企業経営者、それに有識者ら、およそ2000人が参加して開かれています。

海外の出席者は主にオンラインで参加していて、日本からは福田元総理大臣が、また、アメリカからはアップルのティム・クックCEOや、テスラのイーロン・マスクCEOらも招かれています。

21日まで開かれるフォーラムでは、今後の米中関係や、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえた国際情勢など、50余りの分科会が開かれる予定です。

一方、会場には、中国と関係が冷え込んでいるオーストラリアとの経済協力を描いたフォーラムの宣伝看板や「アメリカと中国は政治では対立しても、人と人はつながっている」などと書かれた中国共産党の宣伝部門が発行する英字の週刊誌なども展示され、国際社会からの中国への警戒の目を強く意識していることがうかがえます。

加藤官房長官「人権など 具体的な行動求めていきたい」

加藤官房長官は、午後の記者会見で「習近平国家主席が演説したことは承知しているが、一つ一つについてコメントは差し控える」と述べました。

そのうえで「中国との安定した関係は日中両国のみならず、地域や国際社会のためにも重要だ。同時に、民主主義や人権などの基本的価値に関して、譲ることがあってはならない。アメリカとも、よく連携しながら中国と率直な対話を行い、主張すべきは主張し、具体的な行動を引き続き求めていきたい」と述べました。

また「気候変動問題は、国際社会全体で取り組むべき重要な課題であり、特に温室効果ガスの排出量が世界1位の中国の取り組みも非常に重要だ。日本政府として、一連の国際会議や、その先に向けて世界の脱炭素化に、関係国と連携しながら取り組んでいきたい」と述べました。