【詳報】神奈川・埼玉・千葉・愛知で「まん延防止等重点措置」

「まん延防止等重点措置」が20日から来月11日までの期間、神奈川・埼玉・千葉・愛知の4つの県で適用されます。

各県ごとの対象地域や、営業時間の短縮に伴う協力金の支給などについて詳しくお伝えします。

神奈川県

【対象地域:横浜市 川崎市 相模原市】

これらの地域の飲食店に対し、県は営業時間をこれまでより1時間早い、午後8時までにするよう要請します。

要請に協力した場合、中小企業には売り上げに応じて1日当たり4万円から10万円、大企業には1日当たり20万円を上限に協力金を支給することにしています。

一方、措置の対象となっていない地域の飲食店については、いま行っている午後9時までの時短要請を、来月11日まで継続することを決めました。

協力金は中小企業は1日当たり2万5000円から7万5000円、大企業は1日当たり20万円を上限とします。

黒岩知事「これまで以上に対策の徹底が必要」

黒岩知事は、20日の会見で「感染力が強いとされる変異ウイルスも増えていて、これまで以上に対策の徹底が必要だ。心を一つにして取り組んでいきたい」と述べました。

そのうえで東京都の小池知事が緊急事態宣言の要請を検討していることについては「東京都の感染状況から判断されたことだと思う。東京都から特に働きかけも無いし、神奈川県は感染者の数も異なる。県としてはきょうからまん延防止措置を行うことがベストな対応だと考えている。県民の皆さんには不要不急の外出自粛や基本的な対策の徹底を改めてお願いしたい」と述べました。

埼玉県

【対象地域:さいたま市 川口市】

対象地域で埼玉県が飲食店などに短縮を要請する営業時間は、これまでの午後9時までから1時間早まって午後8時までとなります。

重点措置の期間中協力に応じた店に対しては、今回から一律ではなくこれまでの売り上げなどに応じ協力金を支払うとしています。

具体的には中小企業は前年度、または前々年度の売上高に応じて1日当たり4万円から最大10万円、大企業は去年、またはおととしの売り上げからの減少分に応じて1日当たり最大20万円です。

このほか重点措置の対象以外の地域でも飲食店などの営業時間についてこれまで同様午後9時までとするよう要請し、中小企業は1日当たり2万5000円から最大7万5000円、大企業は最大20万円の協力金を支給するとしています。

大野知事「このままの状況続けばより強い措置検討」

埼玉県の大野知事は現在の感染状況について20日の会見で「このままの状況が続けばより強い措置を検討せざるをえない。仮に緊急事態宣言となった場合1回目の宣言と同じようなより強い措置を求めざるをえない。まさに今は感染拡大防止の正念場だ」と述べました。

感染対策確認できた店に協力金 新制度導入

埼玉県は「まん延防止等重点措置」の対象地域の飲食店について、県や市の職員の巡回で感染対策を行っていることが確認できた店に営業時間の短縮に伴う協力金を支払う新たな制度を導入すると発表しました。

新たに導入する制度は「まん延防止等重点措置」が適用されたさいたま市と川口市の飲食店およそ7500店を対象に行われます。

今月26日から来月9日まで県や市の職員が店を巡回してアクリル板の設置や換気の方法など6項目の感染防止対策を確認し、対策がとれている店を県が認証します。

県は認証を受けたうえで営業時間の短縮要請に応じた店に協力金を支払うことにしています。

大野知事は「営業時間の短縮要請に応じた飲食店には、感染防止対策を進めてほしい。いま一度、人の命を守るための協力をお願いし、緊急事態宣言にならないよう力を貸していただきたい」と話していました。

千葉県

【対象地域:船橋市 市川市 松戸市 柏市 浦安市】

千葉県は5つの市の飲食店などに対して営業時間をこれまでより1時間早い午後8時までとするよう要請します。

また、5つの市以外の地域の飲食店などに対してもこれまでと同じく営業時間を午後9時までとするよう要請します。

千葉県は期間中要請に応じた場合地域や事業規模に応じて、中小企業には1日当たり最大10万円、大企業には1日当たり最大20万円の協力金を支給します。

熊谷知事「今の水準のうちに対策を取ることが極めて大事」

千葉県の熊谷知事は記者団の取材に応じ「今後、変異株の比率が高まり東京のように感染が拡大していく可能性があることを考えると、今の水準のうちに対策を取ることが極めて大事だ。『ここで頑張る必要があるんだ』と理解してしっかり対策を取ってほしい」と話しました。

そのうえで緊急事態宣言については「少なくとも千葉県はそのフェーズにあるわけではないが、予断を許さないと思っている。まずは『まん延防止等重点措置』の効果が発揮されるようにしたうえでさらなる拡大があると判断されればさらに強い措置を選択肢に入れながら考えていきたい」と述べ、感染拡大の状況次第では発出の要請も検討していく考えを示しました。
千葉県庁では飲食店の見回り調査を行うチームの出発式が行われました。

チームの職員はあすから5つの市の飲食店など要請の対象となるおよそ1万4000店舗をすべて個別に見回って感染防止対策が徹底されているか調査する予定で熊谷知事は「措置の効果を最大限に発揮するために飲食店の徹底した対策が必要だ。県民の命を守り飲食店の経営を続けられるようしっかりチェックしてほしい」と声をかけていました。

「重点措置」対象の境目 JR津田沼駅北口の繁華街

JR津田沼駅北口の繁華街は対象となる船橋市と、対象外の習志野市の境目で対応が分かれ、戸惑いの声が聞かれました。

JR津田沼駅の周辺は船橋市と習志野市が隣接していて、駅北口の繁華街では、東京寄りが「まん延防止等重点措置」が適用される船橋市、千葉市寄りが適用外の習志野市になります。
飲食店などへのこれまでより1時間早い午後8時までとする営業時間短縮の要請は船橋市側だけに出され、隣接する地域でも異なる対応となり、飲食店からは戸惑いの声が聞かれました。

船橋市側「駅前の同じエリアを一体として対策して」

このうち重点措置が適用される船橋市側でおよそ40年前から続くそば店を経営する速水啓輔さんは「要請に従っていくしかないが、終了が夜8時になると売り上げにも大きく影響する。自治体の境目は津田沼に来るお客さんには関係のない話で、駅前の同じエリアを一体として対策してもらったほうがより実行性があるのではないか」と話していました。

習志野市側「客が流れてきて売り上げ増か リスクも」

一方、重点措置適用の対象外となる習志野市側にあるメキシコ料理居酒屋の豊川俊介店長は「夜の1時間は大きいので、船橋のほうから客が流れてきて売り上げが上がるかもしれないとは思います。ただ、同時に感染のリスクも高まるのでより一層衛生面の対策を考えないといけない」と話していました。

また対象地域と比べ時間短縮に応じた際の協力金の額が少なくなることについては「少ない分は工夫して埋めていきたいと思うが、やはり同じエリアにある店はエリア全体で同額にするなど対策を工夫してもらいたい」と指摘していました。

愛知県

【対象地域:名古屋市】

市内のすべての飲食店に対し、営業時間を午後8時までに短縮するよう要請します。

名古屋市以外の県内の飲食店には、営業時間を午後9時までとするよう要請します。

また、カラオケの利用による感染が相次いでいることから県内の店舗に対しカラオケ設備の提供を自粛するよう求めることにしています。

大村知事「観光施設やイベント 感染対策不十分の場合は自粛を」

20日夕方、記者会見した大村知事は大型連休中に人が集まることが想定される観光施設や商業施設、イベントなどへの要請を新たに加えることを明らかにしました。

それによりますと県内の遊園地や観光施設それにイベントについては、入場制限や客の流れを管理するなどの対策を強化するよう求めたうえで、人の密集が避けられず感染対策が十分に取れない場合は営業や開催を自粛するよう要請しています。

またショッピングモールなど大規模な商業施設に対しては、大型連休中のバーゲンセールや催しについて延期や自粛を求めています。

名古屋の繁華街で飲食店見回り

愛知県は「まん延防止等重点措置」の期間中、対象地域となる名古屋市内の飲食店を回って営業時間を午後8時までとするよう協力を呼びかけるとともに、感染防止対策を確認することにしています。

初日の20日は愛知県と名古屋市の職員40人が中区役所に集まったあと2人1組で栄・錦地区の繁華街に出向きました。
このうち栄の居酒屋には大村知事が職員とともに訪れ、客に検温やマスクの着用を呼びかけているかやアクリル板を設置して席の間隔を空けているかなど10項目の感染防止対策の状況について店長から聞き取っていました。

このあと大村知事は「店にはしっかり感染防止対策を取ってもらい、客には対策をしている店を利用してもらうことで感染拡大を抑えたい」と話しました。

愛知県によりますと、見回りの対象となる名古屋市内の飲食店はおよそ1万8000店で、愛知県は民間業者にも委託して、来月11日までの期間中にすべての店を訪問することを目指しています。