火星で小型ヘリコプターの飛行に成功 地球以外の惑星で初 NASA

NASA=アメリカ航空宇宙局の火星探査車に搭載された小型ヘリコプターが19日、火星でのテスト飛行に成功しました。
地球以外の惑星で、航空機が飛ぶのは初めてで、将来の探査に応用されることが期待されています。

ことし2月に火星に着陸したNASAの火星探査車「パーシビアランス」には、火星の薄い大気の中でも航空機が飛べるかどうかを確かめるために開発された小型ヘリコプター「インジェニュイティ」が搭載され、今回の探査での主要な計画の一つとなっています。

このヘリコプターの初めてのテスト飛行が19日に行われ、地球に届いたデータから無事、飛行が成功したことがわかりました。

探査車「パーシビアランス」が撮影した映像には、ヘリコプターが地上を離れて浮かぶ様子が記録されています。

また、ヘリコプターから撮影された写真には、飛行するヘリコプターの影が写っています。

飛行時間はおよそ40秒で、30秒間にわたり、3メートルの高さを保った状態で飛行することにも成功したということです。

地球以外の惑星で、動力で飛行する航空機が飛ぶのは宇宙開発の歴史上初めてで、NASAのジャージック長官代行は「ライト兄弟の初めての飛行から117年後、NASAは驚異的な飛行を地球外で成功させた」とたたえました。

飛行テストは今後、4回にわたり行われる予定です。

火星でもヘリコプターが使えることがわかれば、将来の探査計画で地上から近づけないところも探査できるようになると期待されています。

「インジェニュイティ」とは

「インジェニュイティ」は、高さおよそ50センチメートル、重さは1.8キロ程度の小型のヘリコプターです。

太陽の光で充電する電池が動力源で、高さは最高5メートルまで、飛行距離は最大300メートルまで飛行できるよう設計されています。

火星は、重力が地球の3分の1程度ですが、大気の密度は1%程度と、空気の流れを利用して飛ぶ航空機には厳しい環境です。

このため、インジェニュイティは、それぞれ別の方向に回転する2重のローターを、地球で飛ぶヘリコプターよりも数倍早い1分間に2400回程度、回転させて飛行します。

飛行実験は当初、今月14日に予定されていましたが、ヘリコプターを制御するソフトウエアに問題が見つかり、修正作業を行ったため、19日に延期されました。

着地に失敗すると、元の姿勢に戻す方法がないため、試験飛行は高度を3メートル程度に抑えるなど慎重に行われました。

飛行の成功を示すデータが、ヘリコプターを制御するカリフォルニア州のNASA・ジェット推進研究所に届くと、試験に関わった科学者らは飛び上がって喜びを示していました。

開発に携わった技術者の一人、タリン・ベイリーさんはNHKのインタビューに対し「歴史的な飛行試験が成功して、とても興奮すると同時にほっとしています」と話していました。

「インジェニュイティ」には探査のための科学機器は搭載されていませんが、飛行技術が実証されれば、将来の探査計画でヘリコプターを使用できるようになる可能性があります。

ベイリーさんは「ヘリコプターによって探査範囲が広がり、地上からは到達できないところが探査できるようになります。将来、人間が火星を探査するようになればドローンのように使うこともできるでしょう」と期待を語りました。