大阪府 宣言解除1か月足らずで感染急拡大 東京都でも警戒を

大阪府では、2回目の緊急事態宣言が解除されてから1か月足らずで、1週間平均の新規感染者数が前の週の2倍を超えるペースで急拡大する状態になり、夜間に繁華街に出ている人の急増が要因になっているとみられています。

東京都では今週で解除から1か月となりますが、解除の前後から夜間の人出は増えていて、専門家は「大阪と同様の急速な感染拡大と医療のひっ迫が起きるおそれがある」として強く警戒を呼びかけています。

大阪府では、緊急事態宣言が解除された3月初めの時期には新規感染者数は1日に70人前後でしたが、先月6日以降は1週間平均の新規感染者数が前の週に比べて増加に転じました。

その後、宣言が解除されて2週間余りの15日には前の週の1.2倍と増加傾向が顕著になってきたあと、3週間余りたった24日には1.5倍を超え、28日には解除後1か月足らずで前の週の2倍を超えて急拡大し、1日当たりの平均の新規感染者数は257人となりました。

その後、8日間にわたって、前の週の2倍を超えるペースでの拡大が続き、「まん延防止等重点措置」が適用された今月5日以降は2倍は下回ったものの、1.3倍を超えるペースで増え続けていて、18日までの1週間では1日当たりの新規感染者数がおよそ1090人となっています。

この急拡大の要因と専門家がみているのが緊急事態宣言が解除された前後から夜間の繁華街に出ている人の数が急増したことです。

厚生労働省の専門家会合の資料によりますと、大阪では、キタやミナミなど主な繁華街での夜8時から10時までの人出は、2月上旬から少しずつ増え始め、宣言が解除された先月1日以降、先月末にかけては1か月ほどの間に大きく増加し、去年11月上旬の水準にまで戻っていました。

繁華街での夜間の人出は感染が広がりやすい飲食に関わるため、人出が増加すると、その後、感染者数が増加することがこれまでの経験から分かっていて、政府の分科会は感染拡大の予兆を早期に捉えるための指標の1つとして「夜間の人出の大きな増加が2週連続で続いた場合」を挙げています。
一方で、東京でも新宿や渋谷など主な繁華街での夜8時から10時までの人出は2月上旬から増え始め、緊急事態宣言が解除された先月21日以降、今月上旬にかけて大阪府よりも急速に人出が増加し、1週間余りで忘年会シーズンで人出が多かった去年12月中旬から下旬ごろに近い水準にまで増えました。

東京都では、宣言の解除前から新規感染者数が徐々に増加する傾向が続いていて、解除から間もない先月26日には1週間平均で前の週の1.1倍に、3週間たった今月11日以降は前の週の1.2倍前後で増えるペースとなっていて、18日までの1週間では1日当たりの新規感染者数がおよそ590人となっています。

専門家は、東京都では、「まん延防止等重点措置」が適用された今月12日以降も人出が十分には減っていないと指摘していて、政府の分科会の尾身茂会長は先週、国会での答弁や記者会見で「東京都も感染が拡大していて今後、関西と同じように急速に拡大する可能性がある」と繰り返し述べて危機感を示しています。

専門家「東京 1日の感染者1000人も遠くない」

厚生労働省の専門家会合のメンバーで国際医療福祉大学の和田耕治教授は「現在、東京では1日当たり500人程度の感染が確認されていて増える傾向が続いている。このままいけば、1日の感染者数が1000人を超える事態がそう遠くないうちに来るという危機感を持っている。先に感染が急拡大した大阪府など関西では重症者の急増で医療の体制がひっ迫を超え、災害レベルの深刻な状況になっている。首都圏では同様の事態になることを避けるため、関西では1日でも早く感染者数を減少させて多くの人の命を救うため、できるだけ早く接触の機会や人出を減らす対策が求められる」と指摘しました。

そのうえで、具体的に求められる対策として「感染力の強い変異ウイルスが広がっている現状では、ことし1月に出された緊急事態宣言のような飲食店への営業時間の短縮要請を中心とした限定的な対策ではなく、それ以外の業種でも人が集まる場所については制限をお願いする必要があるのではないか。大型連休の期間にかけて国内では相当な数のワクチンが配送される計画になっている。接種をできるだけスムーズに進めるためにも少なくともその時までに感染をできるかぎり抑え込む必要があることを多くの人に理解していただき、協力をお願いする必要がある」と話しています。