線状降水帯の確認で「顕著な大雨に関する情報」発表へ 気象庁

発達した積乱雲が帯状に連なり、大雨による被害をもたらす「線状降水帯」。気象庁はこの「線状降水帯」による大雨が確認された場合に新たな情報を発表し、住民に厳重な警戒や身の安全の確保を呼びかけることになりました。

去年7月の豪雨災害では熊本県の上空で線状降水帯が断続的に発生し、猛烈な雨によって球磨川が氾濫し多くの人が犠牲になりました。

気象庁が当時の状況を検証したところ、球磨川が氾濫するおよそ3時間半前に線状降水帯が発生していたということです。

このため気象庁は、専門家などによる検討会で議論を重ね、線状降水帯による大雨が確認された場合に厳重な警戒や身の安全の確保を呼びかける「顕著な大雨に関する情報」を新たに作りました。

ことしの大雨の時期から情報を運用する予定で、命に危険が及ぶ土砂災害や洪水が発生する危険度が急激に高まっているとして、住民に危機感を伝えることにしています。

一方でこの情報は線状降水帯が「予測」された場合ではなく「確認」された場合に発表されるもので、発表されなくても被害が出るケースがあるということです。

検討会で委員を務めた静岡大学の牛山素行教授は「この情報は本当に危険性が高まってきている状況で発表されるので、その前に避難などの行動をしてほしい。雨がどこで降っているのか、どこの川があふれそうなのか、常に情報を確かめていくことが重要だ」と話していました。

情報が出たら“災害発生危険度 急激に高まっている状況”

気象庁が新たに作成した「顕著な大雨に関する情報」は、発達した積乱雲が帯状に連なる線状降水帯が発生し、土砂災害や洪水の危険度が急激に高まってきた場合に緊急的に発表される情報です。

気象庁は、線状降水帯が発生すると数時間先の降水量の予報が精度よく発表できない危険な状況になるとして、線状降水帯の発生をリアルタイムで知らせようと新たな情報を作成しました。

気象庁はこの情報の発表基準として5キロ四方の3時間の解析雨量が100ミリ以上あり、それが分布している領域の面積の合計が500平方キロメートル以上確認された場合で、その領域の形状が「線状」であることなどとしています。

ただ、線状降水帯が確認され、この情報が発表されるときは災害発生の危険度が急激に高まっている状況です。屋外への避難が難しい状況になっていることも予想されます。

さらに、過去の災害で検証したところ、この情報が発表される条件でなくても、被害が出ていたケースもあったということです。

このため気象庁は、洪水や土砂災害などのリスクが高い地域では市町村からの避難の情報や気象庁のホームページで確認できる危険度分布、河川の水位情報などをもとに早めの避難を心がけてほしいとしています。

専門家など検討会の委員 たびたび懸念示す

「線状降水帯」の発生を知らせる新しい情報、「顕著な大雨に関する情報」については、専門家など検討会の委員から、たびたび懸念が示されていました。

【情報増える懸念】
まず、大雨の情報には、「警報」や「特別警報」のほか、「記録的短時間大雨情報」など多くあり、さらに新しい情報が加わることで情報の受け手側の住民がわかりづらくなるという指摘があがっていました。

【“顕著な大雨に関する情報”名称の懸念】
また、今回の情報は、「線状降水帯」が確認されたことを伝えるのが一番の目的であるのに、情報の名称が「顕著な大雨に関する情報」となっているのは、かえってわかりにくいのではないかという指摘も出ていました。

【領域を“だ円”で示す懸念】
さらに今回の情報の発表に伴い、気象庁は、線状降水帯が発生している領域をホームページの雨雲レーダーなどに「だ円」の線で示すことにしていますが、「だ円」の外側の地域では危機感が緩んでしまうおそれがあるという意見が出ていました。

【台風でも発表の懸念】
また、現状では台風による雨雲も「線状降水帯」として検知されてしまう可能性があり、区別して発表できるよう将来的には改善すべきだとの指摘も出ていました。

【必要に応じ今後も情報改善】
これらの懸念の声を受け気象庁は、今後も防災情報を整理して集約していくことや、必要に応じて情報を改善していくことにしています。