大手半導体メーカー ルネサス 火災から1か月で生産再開 課題も

大手半導体メーカー、ルネサスエレクトロニクスは火災の影響で停止していた主力工場での自動車向け半導体などの生産を、およそ1か月で再開させました。世界的な半導体不足のなか早期の再開を果たした形ですが、自動車メーカーの減産などの影響を抑えるため今後は供給量をいかに早く増やせるかが課題となります。

ルネサスエレクトロニクスは、茨城県の那珂工場で先月19日、製造装置などが焼ける火災があり、自動車向け半導体などの生産を一部、停止しました。

自動車向けを含めて世界的に半導体が不足するなかで会社は自動車メーカーなどの支援を受けながら早期の復旧を目指し、17日、火災発生からおよそ1か月で生産を再開させました。

しかし、一部の製造装置の整備に時間がかかることなどから出荷量が元の水準に回復するには数か月かかる見通しで、自動車メーカーの減産などの影響を抑えるため、今後は供給をいかに早く増やせるかが課題となります。

ルネサスでは19日柴田英利社長がオンラインで会見し、生産や供給の見通しなどについて説明することにしています。

背景に自動車メーカーの異例の支援体制

ルネサスエレクトロニクスの那珂工場が火災からおよそ1か月という早期の生産再開を果たした背景には、自動車メーカーによる異例の支援体制がありました。

火災発生の直後から取引先の自動車メーカー各社から応援の要員が派遣され、壊れた設備の交換やすすの清掃などを行いました。

その数は1日当たり最大で1600人にのぼり、24時間体制で作業にあたったということです。

ルネサスが手がけるさまざまな半導体のなかでも自動車用の「マイコン」と呼ばれる半導体は、走る・曲がる・止まるという車の動きを制御する重要な部品で世界シェアの3割を占めています。

火災が発生した時点ですでに世界的な半導体不足が懸念されていて、ルネサスの生産停止が長引けば、自動車メーカーとしても大幅な減産に追い込まれかねないという危機感がありました。

また、今回火災で停止した工場は、東日本大震災で操業が停止した際にも、自動車メーカーなどの支援を受けていました。

このときには、ルネサスや応援に入ったメーカーの技術者が毎日、大きな会議室に集まり、復旧の進捗状況や問題点を情報共有しながら作業を進める「大部屋方式」と呼ばれる仕組みを取り入れ、当初の復旧まで6か月かかるとされていたのを実際にはその半分の3か月で復旧させました。

その経験をいかして、今回も大部屋方式がとられ、早期の復旧につながったということです。

専門商社には注文が殺到

世界的に半導体が不足する中、半導体製品の販売を手がける専門の商社にはかつてないほどメーカーなどからの注文が殺到しています。

東京 池袋に本社がある大手半導体商社はネット販売に力を入れていて、自社のサイトで家電や電子機器、自動車などあらゆる分野に使われる半導体およそ200万種類を取り扱っています。

得意先で十分な量の半導体を調達できなかった部品メーカーなどが、足りない分を補おうとこの会社のサイトを利用しているということです。

世界的な半導体不足でこの会社では去年12月ごろから注文が増え、先月の売り上げは去年の同じ月よりおよそ70%増えて一月当たりでは過去最高となりました。

ルネサスエレクトロニクスが火災で生産を一部停止したあとはルネサス製の半導体や似たタイプの商品に注文が殺到しているということです。

およそ10万点の半導体が保管されている長野県の倉庫では、次々と入る注文に対応していて、こん包作業などをするスペースには出荷待ちの商品が山積みとなっていました。

この会社では今後も半導体の需要は伸びるとみて、来年度中に倉庫の面積を今の8倍に拡充する計画です。
半導体商社コアスタッフの戸澤正紀社長は「出荷が増えるということは当然、うれしいことだが、それだけ、日本中、世界中で問題が起こっているということだ。これから先は、半導体の需要の読みと実際に商品をそろえておく力を持っている会社が生き残っていくと思う」と話していました。

需要増加で新たな設備投資

世界的な半導体不足を受けて、半導体の製造装置をつくるメーカーでは注文の増加に対応して新たな設備投資などに乗り出しています。

このうち、半導体製造装置で最大手の東京エレクトロンは中国や韓国などの企業から製造装置の受注が増えているということです。

需要の増加に対応するため、先月新たな装置を開発するための開発棟を、およそ110億円をかけて山梨県に建設すると発表しました。

また、KOKUSAI ELECTRICも、去年の暮れから製造装置の受注が増え、今後、工場の稼働率を上げて対応する方針で準備を進めています。