米中 気候変動対策では協力で一致 高官の会談で共同声明

アメリカと中国の両政府は、上海で行われた気候変動問題を担当する高官どうしの会談で、両国が協力して対策を進めていくことで一致したことを明らかにしました。人権問題などで対立が深まるなかでも、互いに重視する気候変動の分野では連携していく姿勢を示した形です。

アメリカで気候変動問題を担当するケリー特使は、バイデン政権の高官として初めて中国を訪れ、今月15日から2日間にわたって、上海で中国の気候変動問題の責任者 解振華氏と会談しました。

会談について米中両政府は日本時間の18日、共同声明を発表し、気候変動対策を協力して進めていくことで一致したことを明らかにしました。

声明では、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」に基づく温室効果ガスの削減に向け、再生可能エネルギーの導入の拡大や、メタンなどの温室効果ガスの排出に対処するための協力などについて、議論を続けていくとしています。

また発展途上国への支援を最大化するための行動をとることで一致したほか、今月22日と23日にアメリカが主催する気候変動サミットについて「両国は楽しみにしている」としています。

アメリカと中国は人権や安全保障などの問題で対立を深めていますが、二酸化炭素の2大排出国であり、互いに重視する気候変動対策では連携していく姿勢を示した形です。

米中は“二酸化炭素 2大排出国”

アメリカと中国は、二酸化炭素の2大排出国です。

IEA=国際エネルギー機関のまとめによりますと、3年前の2018年、火力発電などエネルギー起源の二酸化炭素の排出量が世界で最も多かったのは中国で全体の28%余りを占めました。

次いで、2番目に多いのがアメリカで全体の15%近くを排出しています。

両国をあわせますと世界全体の排出量の4割以上を占め、両国の動きは世界の気候変動対策を左右することになります。

トランプ前政権からの方針転換を進めるアメリカ

アメリカのバイデン大統領は気候変動への対応を経済や外交、安全保障に関わる最優先課題の1つとして重視し、ことし1月の就任直後に、トランプ前政権下で離脱した国際的な枠組み「パリ協定」に復帰するための文書に署名しました。

さらに、国有地などでの原油や天然ガスの掘削を制限する大統領令に署名したほか、電気自動車の普及のためのインフラ整備や、再生可能エネルギー開発の支援に重点を置く政策を相次いで打ち出し、前政権からの方針転換を進めています。

アメリカはパリ協定に基づき、温室効果ガスの排出量を2025年までに2005年に比べて26%から28%、削減する目標を掲げていましたが、バイデン政権はパリ協定への復帰を受け、新たな削減目標の検討を進めています。

新たな目標は今月22日から開催する気候変動サミットまでに示すとしていて、アメリカのメディアは大幅に引き上げられるとの見通しを伝えています。

中国 2060年までに二酸化炭素排出量“実質ゼロ”努力と表明も

温室効果ガスの世界最大の排出国である中国は、気候変動問題に国を挙げて取り組む姿勢を強調しています。

習近平国家主席は、去年9月の国連総会で、二酸化炭素の排出量について「2030年までにピークに達し、2060年までに実質ゼロを実現できるよう努力する」と表明しました。

中国にとっては、エネルギー源として石炭への依存が高いことが課題で▼風力や太陽光などの再生可能エネルギーの発電を急速に増やしているほか▼今後は原子力発電についても、安全の確保を前提に積極的に推進する方針です。

ただ2060年までの実質ゼロ実現は、かなり意欲的な対策をとらなければ難しいとみられ、▼水素を活用した次世代のエネルギー開発や、▼蓄電技術の改良など、一層の技術革新も必要だと指摘されています。