日米首脳会談 菅首相 “台湾海峡の平和と安定の重要性確認”

菅総理大臣は、アメリカのバイデン大統領と初めての日米首脳会談を行い、中国が東シナ海などで力による現状変更を試みていることに反対していくことで一致し、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、日米に加え、ASEAN=東南アジア諸国連合などと連携を強化していくことで一致しました。また、台湾海峡の平和と安定の重要性について確認しました。

アメリカの首都ワシントンを訪れている菅総理大臣は、日本時間の17日未明、ホワイトハウスで、およそ2時間半にわたってアメリカのバイデン大統領と初めてとなる日米首脳会談を行いました。

この中で両首脳は、中国への対応をめぐって意見を交わし、東シナ海や南シナ海での力による現状変更の試みと、威圧的行動に反対していくことで一致しました。

一方で、日米両国が中国と率直な対話を行う必要があり、国際関係の安定を追求すべきだという認識で一致しました。

また、両首脳は、日米同盟の抑止力、対処力を強化する必要があるとして、同盟強化の具体的な方策について、両国間で検討を加速することを確認しました。

そのうえで、菅総理大臣が、日本の防衛力強化への決意を述べたのに対し、バイデン大統領は、沖縄県の尖閣諸島が日米安全保障条約第5条の適用対象であると改めて表明しました。

また、台湾をめぐる問題や新疆ウイグル自治区の人権問題についても意見を交わし、台湾海峡の平和と安定の重要性について、確認しました。

さらに、ミャンマー情勢について、多数の民間人が死傷している状況を強く非難し、ミャンマー国軍に対し、暴力の即時停止や被拘束者の解放、民主的な政治体制の早期回復を連携して強く求めていく方針を改めて確認しました。

そして菅総理大臣が、日米同盟の重要性はかつてなく高まっていると指摘し、両首脳は、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、日米に加え、オーストラリアやインド、そしてASEAN=東南アジア諸国連合などと連携を強化していくことで一致しました。

このほか両首脳は、北朝鮮に対し、核や弾道ミサイルの完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄を強く求めていくことで一致し、拉致問題の解決に向けて、日米で連携していくことを確認しました。

さらに、新型コロナウイルス対策で重層的な協力の推進に取り組むとしたうえで、ワクチン供給や国際保健分野での官民協力の強化について、両政府間で引き続き協力していくことを確認しました。

また、重要課題と位置づける気候変動問題について「日米で世界の脱炭素をリードしていく」として、両国の協力を強化するなどとした「日米気候パートナーシップ」を立ち上げることで合意しました。

さらに、東京オリンピック・パラリンピックについて、菅総理大臣が「ことしの夏、世界の団結の象徴として、東京オリンピック・パラリンピックの開催を実現する決意だ」と述べたのに対し、バイデン大統領は支持を表明しました。

また、アメリカでアジア系の住民に対する暴力事件などが相次いでいることをめぐり、人種などによって差別を行うことは、いかなる社会にも許容されないという認識で一致しました。

そして菅総理大臣は、バイデン大統領の早期の日本訪問を招請し、両首脳は引き続き、新型コロナウイルスの感染状況を見極めつつ、ハイレベルでの要人の往来を通じて、2国間関係を強化していくことを確認しました。

「バイデン大統領と信頼関係 構築できた」

菅総理大臣は、日米首脳会談のあと記者団に対し、沖縄県の尖閣諸島を含む東シナ海や台湾をめぐる情勢について中国の行動によって厳しい状況が続いているという認識を示したうえで、バイデン大統領との間で、平和裏に解決を目指すことで合意したと明らかにしました。

この中で、菅総理大臣は、バイデン大統領との初めての日米首脳会談について「バイデン大統領とは家族の話やいろいろな人生経験の話をした。信頼関係はかなり構築することができたのではないかと思っている」と述べました。

そして、沖縄県の尖閣諸島を含む東シナ海や台湾をめぐる情勢について「厳しい状況が続いていることは事実だ」と述べ、中国が覇権主義的な行動を強めているという認識を改めて示しました。

そのうえで「バイデン大統領と平和裏に解決することを最優先とすることで合意した。中国に対して、必要なことや言うべきことははっきり言っていく。そうした中で地域の安定、平和に寄与していきたい」と述べました。

会談終了後 ツイッターでお礼のメッセージ

菅総理大臣は、初めての日米首脳会談終了後、みずからのツイッターに、バイデン大統領へのお礼のメッセージを投稿しました。

この中で、菅総理大臣は「バイデン大統領、本日はホワイトハウスにお招きいただき、ありがとうございました。大変、実りある会談となりました。日米は、民主主義の価値を共有しているからこそ、自由で開かれたインド太平洋のためのリーダーシップを発揮していくことができます。このビジョンの実現に向け、大統領とともに取り組めることをうれしく思います」と投稿しました。

また、英語でも「Thank you, Joe」と記したうえで、同様の内容をつづっています。

これに対し、バイデン大統領も、みずからのツイッターで「菅総理大臣、ワシントンへの長い旅、ありがとうございました。ホワイトハウスでお迎えできて光栄でした。自由で開かれたインド太平洋を確かなものにするために、ともに取り組んでいく中で、これからの数年間、何度も顔を合わせていくことになると確信しています」と英語で応じました。

杉山 前駐米大使「極めて大きな意義がある」

杉山晋輔 前駐米大使は、NHKのインタビューに応じ、今回の会談について「ハンバーガーを食べるのも忘れて家族の話や個人的な話をしたということは2人のトップリーダーが個人的な信頼関係を構築したということであり、極めて大きな意義がある」と述べました。

また、共同声明でおよそ半世紀ぶりに台湾に言及したことについて「中国がここ最近、非常に拡張的な政策をとり、こうした一方的な力による現状変更に対する大きな懸念があるというのが背景となっているのは間違いない」と指摘しました。

そのうえで「両岸問題の平和的解決を促す」という表現が盛り込まれていることに関して「少なくとも日米双方は戦争や武力衝突を望んでおらず対話による平和的な解決が必要だということを言っている。ただ、今の中国がとっている行動に対する重大な懸念は表明せざるをえないということだ」と述べました。

そして、今後、日米両国が、どう中国と向き合っていくかについて「中国を封じ込めたり対決したりするのではなく、国際社会の中でよりよいルールに基づいた責任のある大国にするために、日米同盟で責任と役割を分担して、最終的によりよい姿に持って行く必要がある」と指摘しました。