2回接種の医療従事者などは14% 検疫所や保健所で接種進まず

新型コロナウイルスのワクチンで、優先接種の対象になっている医療従事者などのうち、2回の接種を終えたのはおよそ68万人と14%にとどまっています。中でも、感染者に接する機会が多い検疫所や保健所の職員への接種が進まず、現場からは不安の声も出ています。

3月、高齢者に先駆けて医療従事者などへのワクチンの優先接種が本格的に始まり、対象者はおよそ480万人と見込まれています。

一方、厚生労働省によりますと、15日までに▽1回目の接種を受けたのは全体の24%にあたるおよそ117万人で、▽2回の接種を終えた人は14%のおよそ68万人にとどまっています。

対象には、新型コロナウイルスの感染者に接する機会が多い検疫所や保健所などの職員も含まれますが、全国13の検疫所にNHKが取材したところ、いずれも職員への接種が行われていないことが分かりました。

▽関西空港など3か所の検疫所については近く接種が始まる予定ですが、▽成田空港や都内の合わせて10か所では日程が決まっていません。

また、全国保健所長会によりますと、各地の保健所でも職員への接種が進んでいないということで、「職場で感染が広がれば業務に支障が出かねず、できれば早く接種を受けさせてもらいたい」としています。

検疫所や保健所で、検体の採取や入院先への移送などを担当する職員からは、「接種を受けられず不安だ」といった声が上がっているということです。

厚生労働省は、高齢者を除く優先接種の対象者全員が2回接種できる量を5月前半には供給できる見込みだとしていて、「対象者の多くが、まだ接種を受けられずにいることは理解している。現時点のワクチンの量は限定的だが、順次、必要としているところに届けていきたい」としています。