香港 新聞創業者ら5人に実刑判決 おととし8月の抗議活動めぐり

香港でおととし8月に行われた2つの抗議活動をめぐり、無許可の集会を組織したなどとして、香港の裁判所は、中国に批判的な新聞の創業者や元議員に対し、最長で禁錮1年6か月の実刑判決を言い渡しました。

中国政府に批判的な論調で知られる香港の新聞「リンゴ日報」の創業者、黎智英氏や議会にあたる立法会の元議員で民主派団体の代表、李卓人氏ら10人は、おととし8月、香港中心部で行われた2つの抗議活動をめぐり、無許可の集会を組織した罪などに問われました。

16日の判決で香港の裁判所は黎氏や李氏ら5人に対し、それぞれ合わせて禁錮1年6か月から8か月の実刑判決を言い渡しました。

黎氏はこのほかにも一連の抗議活動に関連し、香港国家安全維持法違反などで起訴されていますが、実刑判決が言い渡されたのは初めてです。

また「香港の民主の父」と呼ばれる82歳の元立法会議員、李柱銘氏ら5人については高齢であることなどを考慮し、執行猶予のついた有罪判決が言い渡されました。

長年にわたって香港の民主化運動の中心的な役割を果たしてきた10人の判決には大勢の市民が傍聴にかけつけ、判決が言い渡されるとすすり泣く声が聞こえたほか、「頑張れ」や「ありがとう」といった激励の声がかけられました。

判決について、民主派団体の陳皓桓代表は「合法であるはずのデモや集会でも今後は罪に問われる可能性があるが、これからも諦めず訴えていきたい」と話していました。

李氏「希望を持ち 心が死ななければ」

毎年、香港で天安門事件の犠牲者を追悼する集会を開くなどしてきた民主派団体の代表、李卓人氏は16日午前、判決を前に記者会見し「刑務所の中にいても、外にいても共に闘おう。希望を持ち、人々の心が死ななければ、民主自由の道が開ける」と訴えました。

李氏は16日2つの裁判で合わせて禁錮1年2か月の実刑判決を言い渡されました。

台湾総統府 報道官 「民主と人権を守る」

判決について、台湾総統府の報道官は「北京当局が香港の民主と人権を侵害し続けることに、改めて深い遺憾の意を表し、非難する。民主的な台湾は引き続き香港と香港の人たちを支え、普遍的な価値を支持する」というコメントを発表しました。

台湾の内閣にあたる行政院の報道官もコメントを出し、判決を受けた人たちに深い同情と遺憾の意を示しました。

そして「この件は台湾の人たちをいっそう警戒させる。不幸にも中国に飲み込まれる日が来れば、台湾は今の香港のように成り果て、思うがままにされてしまうだろう。全員が一致団結し、民主と自由と人権の価値をしっかりと守ってはじめて、台湾を飲み込もうとする中国のたくらみどおりにさせないことができる」と、中国を非難しました。

米 ブリンケン国務長官 「実刑判決を非難 釈放を求める」

アメリカのブリンケン国務長官は16日「アメリカ政府は政治的な思惑で罪に問われた民主派に対する実刑判決を非難する」という声明を発表しました。

声明では「今回の判決は香港基本法などが保障した権利や自由を中国政府や香港当局が損なっていることを改めてあらわにした」としたうえで「アメリカは自由や自治に対する中国政府の攻撃に立ち向かう香港市民を支え続け、拘束された人たちの釈放を求め続ける」と強調しました。