38都道府県で感染拡大「まん延防止」適用も 拡大止まらず

新型コロナウイルスの新規感染者数を1週間当たりで見ると「まん延防止等重点措置」が適用されている大阪府や兵庫県でも、前の週の1.4倍以上と、感染の拡大が止まらない状態で、隣接する和歌山県や新たに重点措置が適用される愛知県でも同程度の増え方となるなど、38の都道府県で拡大しています。

NHKは各地の自治体で発表された感染者数を元に、1週間平均での新規感染者数の傾向について前の週と比較してまとめました。

全国では、
▽3月18日までの1週間では、前の週に比べて1.10倍と、1日当たりの新規感染者数は1200人ほどでしたが、
▽3月25日は1.22倍、
▽4月1日は1.44倍
▽4月8日は1.30倍
▽15日までの1週間では、前の週の1.28倍と、
感染の拡大が続き、1日当たりの新規感染者数は、およそ3500人となっています。

1週間平均での新規感染者数が前の週より増えたのは38の都道府県で、全国各地で感染が拡大する傾向が続いています。

「まん延防止等重点措置」適用中の地域では

【大阪府】
3月中旬以降、新規感染者数の増加傾向が顕著になり、
▽3月18日までの1週間では、前の週に比べて1.40倍
▽3月25日は1.57倍
▽4月1日は2.39倍と急増しました。

重点措置が適用されたあとの、
▽4月8日は1.67倍
▽4月15日までの1週間では、前の週に比べて1.42倍で、1日当たりの新規感染者数は1000人近くと、感染の拡大が止まらない状況が続いています。

【兵庫県】
同様の傾向で、
▽3月18日までの1週間では、前の週に比べて1.66倍
▽3月25日は1.24倍
▽4月1日は2.07倍

重点措置が適用されたあとの、
▽4月8日は1.55倍
▽4月15日までの1週間では1.54倍と、拡大は止まっておらず、1日当たりの新規感染者数はおよそ350人となっています。

【東京都】
緊急事態宣言が解除された前後の3月下旬ごろから新規感染者数が増え始め、
▽4月1日までの1週間では前の週に比べて1.16倍
▽4月8日は1.15倍

重点措置が適用されたあと、
▽4月15日まででは1.23倍と増加傾向が続き、1日当たりの新規感染者数は520人余りとなっています。

【京都府】
3月下旬以降、新規感染者数が増え始め、
▽4月1日までの1週間では、前の週に比べて2.34倍と急増し、
▽4月8日は1.89倍

重点措置が適用されたあと、
▽4月15日まででも1.33倍で、1日当たりの新規感染者数は80人を超え、増加傾向が続いています。

【沖縄県】
3月上旬ごろから新規感染者数の増加傾向が続いていて、
▽3月25日までの1週間では1.75倍
▽4月1日は1.58倍
▽4月8日は1.29倍

重点措置が適用されたあと、
▽4月15日まででは1.06倍と、増え方は緩やかになっていますが、1日当たりの新規感染者数は100人を超える状態となっています。

一方、
【宮城県】
▽3月25日までの1週間では、前の週に比べて1.86倍で急増していましたが、
▽4月1日は1.14倍

重点措置が適用されたあと、
▽4月8日は0.73倍
▽4月15日まででは0.80倍と、減少の方向に向かっています。

新たに「まん延防止等重点措置」適用される地域

新たに適用される地域でも感染が拡大しています。

【神奈川県】
緊急事態宣言が解除された3月下旬以降、新規感染者数が増え始め、
▽4月1日までの1週間は、前の週に比べて1.10倍
▽4月8日は1.17倍
▽4月15日まででは1.31倍と増加幅が大きくなってきていて、1日当たりの新規感染者数は160人を超えています。

【埼玉県】
▽4月1日までの1週間は、前の週に比べて1.11倍
▽4月8日も1.11倍
▽4月15日まででは1.04倍と、増加傾向となっています。

【千葉県】
▽4月1日までの1週間では、前の週に比べて1.05倍
▽4月8日は0.88倍
▽4月15日まででは1.10倍と、増加傾向となっています。
【愛知県】
3月下旬以降、新規感染者数が増え、
▽4月1日までの1週間では、前の週に比べて1.26倍
▽4月8日は1.79倍
▽4月15日まででは1.41倍で、1日当たりの新規感染者数は170人を超えています。

適用地域以外でも増加

重点措置が適用されている地域に隣接する県で、感染の拡大が顕著になっているところがあります。

大阪府に隣接する、
【奈良県】
3月下旬ごろまで、1日当たりの新規感染者数は10人未満でしたが、
▽4月1日までの1週間では、前の週と比べて2.89倍
▽4月8日は1.88倍と急増し、
▽4月15日まででは、1日当たりの新規感染者数は75人を超え、前の週の1.16倍となっています。

【和歌山県】
3月下旬まで、1日当たりの新規感染者数は10人未満でしたが、
▽4月1日までの1週間では、前の週と比べて1.95倍
▽4月8日は1.97倍と急増し
▽4月15日まででは、1日当たりの新規感染者数は30人を超え、前の週の1.41倍となっています。

さらに、
【福岡県】
4月上旬以降、新規感染者数が増加に転じ、
▽4月8日までの1週間では、前の週に比べて1.38倍、
▽4月15日まででは2.15倍と、急増しています。

専門家「全国的に第4波の拡大明確 強力な対策実施も」

日本感染症学会の理事長で、東邦大学の舘田一博教授は「大阪府や東京都、愛知県など、各地の主要な都市を中心に全国的に第4波の拡大が明確になりつつある。特に、まん延防止等重点措置の適用から2週間近くたつ大阪府や兵庫県は、いまだに高い水準で感染者数が推移しており、変異ウイルスの影響や人々の気の緩みに阻まれ、対策の効果が十分に出ていない可能性がある。来週も、この傾向が続くか、さらに拡大しているなら、再度の緊急事態宣言も含めた強力な対策の実施も視野に入れなければならないと思う」と話しています。

また、東京都など1都3県については「東京都は急激な増加には至っていないものの、先月中旬から1か月以上、確実に感染者数が増えている。人口規模の大きい首都圏では減少に転じるまで長い時間を要し、各地の都市に感染が飛び火していくため、拡大は絶対に防がなければならない。感染の広がりが深刻になるようであれば、強力な措置をなるべく早めに検討していく必要がある」と話しています。

さらに、他の地域について「福岡県は急激に感染が拡大しており、今後、数日の状況次第では重点措置の適用が必要になるかもしれず、細心の注意を払いながら状況を見ていく必要がある」と話しています。