米バイデン政権 “台湾に関する記述 日米共同声明で明記を”

日本時間の17日未明に行われる日米首脳会談について、アメリカのバイデン政権の高官は台湾海峡の平和と安定に関して協議し、共同声明に明記したいという考えを示しました。また、中国が世界市場でリードしている高速・大容量の通信規格の5Gなどの技術について、日本政府はアメリカと共に20億ドル規模の投資計画に取り組むとして、中国を念頭に幅広い分野での日米関係の強化を確認したいとしています。

菅総理大臣とアメリカのバイデン大統領は日本時間の17日未明、ホワイトハウスでバイデン政権発足後初めてとなる対面での首脳会談に臨みます。

会談についてバイデン政権の高官は15日に電話で会見し、台湾海峡の平和と安定について協議し、共同声明に明記したいという考えを示しました。

台湾周辺では中国軍が活動を活発化させ、アメリカ政府が懸念を強めていて、日米首脳会談の共同声明で台湾に関する記述が明記されれば1969年以来となります。

また、この高官は会談に合わせて、中国が世界市場でリードしている高速・大容量の通信規格の5Gなどの技術について、日本政府がアメリカと共に20億ドル規模の投資計画に取り組むことを発表すると明らかにしました。

このほか、日本と韓国の関係が悪化していることについて「悲痛なまでに懸念している。北東アジアでわれわれが力を発揮することの妨げになっている」として、バイデン大統領が、この問題に触れるとの見通しを示しました。

さらに今週、バイデン大統領がアフガニスタンに駐留するアメリカ軍をことし9月11日までに完全撤退させると決めた背景について「政権や軍の時間や資源を21世紀の重要な課題に振り向けるためだ」と述べ、日本などの同盟国などと連携して中国に対抗していくことに注力する考えを強調しました。

バイデン政権 台湾周辺での中国の軍事活動活発化を懸念

バイデン政権は、中国が台湾周辺で軍事活動を活発化させていることに懸念を強めています。

中国海軍は今月、台湾の周辺海域で中国の空母「遼寧」の部隊が訓練を実施したと発表したほか、12日には台湾の国防部が、台湾が設定する防空識別圏に中国軍の戦闘機など延べ25機が進入したと発表しました。

アメリカのインド太平洋軍のデービッドソン司令官は3月、議会の公聴会で台湾をめぐる情勢について「今後6年以内に脅威が明白になる」と述べて、緊迫化への懸念を示しました。

こうした中、バイデン政権も今月、アメリカ軍の駆逐艦に台湾海峡を通過させて中国をけん制。

さらに国務省は台湾との当局者どうしの交流を促進するための新たな指針を設け、台湾との関係の強化も進めています。

また、今月13日からはバイデン大統領と個人的に親しいドッド元上院議員や、アーミテージ元国務副長官らを非公式の代表団として台湾に派遣しました。

派遣は、バイデン大統領自身が上院議員時代に賛成票を投じた、アメリカの台湾への支援を定めた「台湾関係法」の制定から42年となったのにあわせたもので、代表団は台湾の蔡英文総統と会談しました。

この訪問をけん制するかのように、中国は15日から台湾海峡の南側にあたる海域で実弾射撃訓練を行うと発表しました。

日本とアメリカは3月に、バイデン政権の発足後、初めて行われた日米の外務・防衛の閣僚協議、いわゆる「2プラス2」の成果文書で台湾海峡の平和と安定の重要性を確認していて、今回の首脳会談でも台湾海峡情勢をめぐる対応が焦点のひとつになっています。

加藤官房長官「台湾海峡の平和と安定は一致」

加藤官房長官は午後の記者会見で、バイデン政権の高官が日米首脳会談で台湾海峡の平和と安定に関して協議し、共同声明にも明記したいという考えを示したことについて「まさに調整中だ。台湾海峡の平和と安定は、先日行われた日米の外務・防衛の閣僚協議、2プラス2でも一致したところであり、これまでも日米間で認識は共有している」と述べました。

また、高速・大容量の通信規格の5Gなどの技術に関する日米の連携について「情報技術通信分野において、イノベーションを通じて、安全で開かれた5Gネットワークを推進し、次世代の情報通信技術の開発していくことを、日米が協力して推進することは重要だ」と述べました。

中国外務省 報道官「利益を損なうものにすべきでない」

日米首脳会談で、台湾海峡の平和と安定に関して協議し、共同声明に明記したいという考えをバイデン政権の高官が示したことについて、中国外務省の趙立堅報道官は、16日の記者会見で「日米両国が結託して、中国に否定的な動きをしていることに対し、両国に深刻な懸念を伝えた」と述べました。

そのうえで「日米の正常な関係発展には意見はないが、それは地域の国々の相互理解や信頼、アジア太平洋地域の平和と安定に資するものとすべきで、第三国を標的にしたり、利益を損なうものにすべきではない」と述べました。

そして「われわれの主権や安全保障、発展の利益を守る決意と意志は揺るぎない。日米は中国の懸念と要求を厳粛に受け止め、中国の内政に干渉したり、利益を損なったりする言動を慎むべきだ」とけん制し、会談の行方によっては何らかの対応をとる可能性を示唆しました。