処理水 濃度薄める設備などの審査は公開で 原子力規制委

東京電力 福島第一原子力発電所で、たまり続けるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水の処分方法について、政府が海へ放出する方針を決めたことを受け、原子力規制委員会は国の基準を下回る濃度に薄めるため、今後、東京電力がつくる設備の能力や健全性などの審査を公開で行うことを決めました。

福島第一原発でたまり続けるトリチウムなどを含む処理水の処分方法について、政府は13日に、国の基準を下回る濃度に薄めたうえで海へ放出する方針を決め、2年後をめどに実施できるよう東京電力に準備を求めています。

これを受け、原子力規制委員会は14日の会合で、東京電力がつくるトリチウムの濃度を薄める設備の能力や健全性、また、放出前に行う濃度の確認方法などの審査を公開で行うことを決めました。

このほか14日は、海洋放出のあとの濃度などを測定する海のモニタリングについても検討が行われました。

モニタリングは環境省を中心に、各省庁や福島県などが参加している「モニタリング調整会議」が行う見通しで、規制委員会もこれに参加していて、トリチウムの測定体制の強化を検討するとしました。

さらに、設備の審査やモニタリングの結果については、第三者の視点からIAEA=国際原子力機関に助言を求めることも確認しました。

こうした方針について、事務局の原子力規制庁は各省庁との連携を密にして必要な準備を進めるとしています。

規制委員会の更田豊志委員長は、会合後の会見で「海への放出は、地元をはじめ多くの方にとって極めて受け入れがたいものと理解しているが、政府の方針が決まった以上、きちんと進められるように審査をできるだけ公開し、速やかにやっていきたい。政府が示した放出までにかかる2年という期間がいたずらに延びないようにしたい」などと述べて、東京電力から審査の申請が出れば、速やかに手続きを進める考えを示しました。

汚染水や処理水に含まれる放射性物質

福島第一原発で発生する汚染水には多くの放射性物質が含まれています。

東京電力では、この中でトリチウムのほか、63種類の放射性物質についてデータを公表しています。

このうち▼マンガン54や炭素14など7つの放射性物質は、通常の原発でも出ているもので、配管などのさびた金属などが放射化して発生するということです。

一方、▼セシウム134や137、ストロンチウム90など56の放射性物質は、本来は原子炉の核燃料の中に閉じ込められていますが、事故を起こした福島第一原発では核燃料が溶け落ちたため、冷却したあとの水に含まれるということです。

東京電力によりますと、今の浄化設備が除去するのは62種類で炭素14は入っていませんが、これは基準を下回っているということです。

一方、7種類については現在、一部のタンクの中に、国の基準を超える濃度で残っています。

その理由について東京電力は、▼放射性物質を取り除く設備でトラブルがあったことや▼発電所全体のリスクを下げるために、基準にこだわらず処理を進めた時期があったためと説明しています。

具体的には、▼セシウム134や137、▼ストロンチウム90、それに、▼ヨウ素129など7種類で、去年12月末の時点でタンクの処理水の、およそ7割にあたるおよそ80万トンでこれらの放射性物質の濃度が基準を上回っているということです。

東京電力は基準を超えているこれらの放射性物質については再び浄化設備に通すことで取り除き、すべて基準を下回るようにする方針です。

その上で浄化設備での除去が難しいトリチウムは海水で国の基準の40分の1を下回る濃度に薄める作業を行う予定です。

この際、トリチウム以外の放射性物質も大幅に希釈されるとしています。

放射性物質を環境中に放出する際、それぞれの種類について濃度が国の基準を下回っていることを確認する必要があります。

また、これら放出する複数の放射性物質を合わせても全体として一定の値を下回ることも求められています。

こうした基準に加え、原発の敷地境界での放射線量が1年間に1ミリシーベルト未満となるよう管理する基準もあり、放射性物質の放出にあたっては、以上のすべてを達成することが必要となります。