車の電動化に向け 蓄電池分野の競争力強化へ 新たな協議会

世界で車の電動化が進む中、基幹部品となる蓄電池の分野で国内のメーカーが新たな協議会を作りました。日本の競争力が高まるよう、原材料となるレアメタルを安定的に確保する具体策などを国に提言する方針です。

この協議会には金属メーカーの住友金属鉱山や、トヨタ自動車が出資する電池メーカーなど、蓄電池の生産に関わる国内メーカー50社余りが参加しています。

EV=電気自動車やハイブリッド車、燃料電池車など、世界で車の電動化が進む中、基幹部品となる蓄電池は今後、世界で需要が高まるとみられています。

このため協議会では、ニッケルやコバルトなど蓄電池の原料となるレアメタルを安定的に確保することや、リサイクルの仕組みづくり、それに再生可能エネルギーによる電力の価格を抑えることなど、日本のメーカーの競争力につながる具体策を議論し、国に提言することにしています。

また協議会では、今後、車の電動化が進んで、仮に年間の新車販売のおよそ半分に当たる250万台程度がEVとなった場合、電池や原材料メーカーでは4兆円に上る規模の設備投資が必要になるとして、今後、国に支援を求める方針です。

協議会の会長を務める住友金属鉱山の阿部功執行役員は、会見で「脱炭素と日本の電池産業の競争力の確保は両立が難しい課題だが、早急に新たな枠組みを考えていきたい」と話していました。

「レアメタル」各国の“争奪戦”一段と激化へ

蓄電池の原料となる「レアメタル」と呼ばれる希少な金属は産出できる地域が限られ、今後、各国の“争奪戦”が一段と激しくなる見通しです。

このうちコバルトは、世界の埋蔵量の50%近くがアフリカのコンゴ民主共和国に集中しています。

またニッケルはインドネシアやオーストラリアなど一部の国に集中しています。

代表的な蓄電池であるリチウムイオン電池に使われるレアメタルについて、調査会社の「富士経済」は、2023年にはニッケルが2018年に比べて4.2倍、コバルトは1.8倍に急増すると予測していて、今後、各国の争奪戦が一段と激しくなる見通しです。

経済産業省はレアメタルの安定調達に向けて、日本企業が資源開発の権益を獲得する際に独立行政法人の、JOGMEC=石油天然ガス・金属鉱物資源機構 が出資をしたり、日本の近海に眠る海底資源の生産技術の開発を進めたりしています。

また日本の企業などは、使用済みの蓄電池のコバルトを再利用する技術や、コバルトを使わない蓄電池の開発に取り組んでいます。

各国 蓄電池産業の育成に注力

車の電動化に合わせて、各国は蓄電池産業の育成にも力を入れています。

自動車用の蓄電池の市場では韓国や中国のメーカーが急速に存在感を高めています。

調査会社の「テクノ・システム・リサーチ」によりますと、車用のリチウムイオン電池市場の各国のシェアは韓国のメーカーが37%、中国のメーカーが35%、日本のメーカーが20%で、韓国と中国だけで70%を超えています。

とりわけ中国は国の補助金の後押しもあり、電池メーカー「CATL」は生産規模で世界最大のメーカーに成長しています。

一方、ここ最近、欧米では、脱炭素の機運が高まる中で蓄電池産業を国内で育成しようという動きが活発です。

これまで中国などから蓄電池を輸入していたヨーロッパでは、EU=ヨーロッパ連合は「バッテリーアライアンス」と呼ばれる新たなプロジェクトを作り、多額の補助金を使って企業の投資を促しています。

ことし1月には40余りの企業を支援する新たな計画を公表し、スウェーデンの新興電池メーカーが再生可能エネルギーを使う大規模な工場の建設に乗り出します。

またアメリカでもバイデン大統領が、ことし2月に、蓄電池を含む重要な4品目の確保を目指す大統領令に署名し、蓄電池のサプライチェーンの強化を進めるとしています。

一方、日本では去年12月に、政府が2050年のカーボンニュートラルを目指した「グリーン成長戦略」をまとめました。

この中では蓄電池も含めて、革新的な技術の開発に取り組む企業を10年間にわたって支援する総額2兆円の基金を設けることにしていて、どこまで投資が活発になるかが焦点です。