ミャンマー情勢 軍と市民の対立

ミャンマー情勢 軍と市民の対立
いま、頻繁にニュースになっている“あの国”についてお伝えします。

問題に挑戦!

早速、問題です。
問題
2015年11月、東南アジアの国で、2011年の民政への移行から、初めての総選挙が行われ、アウン・サン・スー・チー氏が率いる国民民主連盟(NLD)が勝利し、2016年の3月には新政権が発足する見通しとなりました。
この国名を、次のア~エのうちから1つ選び、記号で答えなさい。

ア.タイ
イ.ミャンマー
ウ.マレーシア
エ.インドネシア

(ラ・サール中学校 2016年)
答えは「イ.ミャンマー」ですね。
ミャンマーでは民主化に取り組んできましたが、2021年2月、軍によるクーデターが起きました。各地で市民の抗議デモが行われ、軍による市民への弾圧が続いています。

民主化とクーデター

スー・チー氏
「自信を持って民主国家をつくりましょう」
ミャンマーでは2011年以降民主化に取り組み、アウン・サン・スー・チー氏率いるNLD=国民民主連盟が支持を広げてきました。
しかしクーデターから2か月余り。軍と市民の対立は一層深刻になっています。
ミャンマーの現状と事態が深刻化している背景について、ミャンマー政治に詳しい京都大学の中西嘉宏准教授に聞きました。
今のこの状況を、中西さんはどう捉えているのでしょうか?
中西さん
「非常に痛ましい状況になっていると思います。誰が得するのかわからないようなクーデターに結果的にはなっているので。民政移管前に、10年、時計の針が戻ってしまった感じですね」
2020年の総選挙で、スー・チー氏率いるNLDは圧勝。
軍は選挙に不備や不正があったと主張し、クーデターを起こしました。
NLDが圧勝したということは、それが国民の声でもあると思うのですが?
中西さん
「軍は必ずしも国民全体の声だと考えていないですね。軍から見ると、スー・チー氏のように非常にカリスマ性の強いリーダーを頂点にした政党が勝つということは、彼女の周囲にいる人たちが得をするための仕組みが民主制だと見えてしまう訳です」

軍の敵は国内に…

今回、衝撃的だったのは、軍や警察が市民に激しい弾圧を行っていることです。
現地の人権団体によると、これまでに犠牲者は700人を超えています(2021年4月12日現在)。
相手は、国民なのに、なぜ軍はここまで攻撃できるのでしょうか。
中西さん
「国民なんですけれども、軍から見ると、自分たちに敵対する人たちに見える訳です」
「国民が敵に見える」とは、どういうことでしょうか。
ミャンマーは、130を超える民族が暮らす多民族国家です。
1948年の独立以来、各地で軍と少数民族の武装勢力との間で戦闘が続いてきました。
中西さん
「私たちがイメージする軍隊というのは、海外からの侵攻に対して国を守る人たちですが、ミャンマーでは、ずっと軍は国内の分裂を避けるために、国内の敵と戦うことが軍の役割でした。非武装の市民であっても、国軍としては秩序に抵抗する敵である、脅威であるというふうに認識して、まるで軍事作戦かのように非常に強い弾圧に出ています」

幅広いデモ参加者

今回の抗議デモでは、若者たちがSNSなどを使い、活動の中心になっています。
中西さん
「若い世代はこの10年間、ミャンマーが民主化、自由化していく中で、子ども時代から最もその恩恵を受けてきた世代です。そういった人たちが、国軍の統治下にちょっとの間でもいたくないと、1秒たりともいたくない、それぐらいの強い気持ちで抵抗しているのが、今回の特徴です」
さらに公務員や会社員、そして都市部だけでなく農村の人たちまで幅広い層で、軍への反発が広がっているといいます。
中西さん
「この10年間ですね、やはりミャンマーの多くの市民にとってはそれまでの軍事政権時代よりもいい社会になったという認識があるんだと思います」

軍への批判どう受け止める?

軍にはアメリカやEUなどから非難の声が強まり、国連の安全保障理事会も軍の暴力を強く非難しました。
しかし事態の打開には至っていません。
中西さん
「軍は国際社会からの批判を、ミャンマーの国内事情がわかっていない人たちの批判だ、というふうに感じますので、むしろ反発して、自分たちの正しさをより信じるということになる可能性もあるんです。国軍の報道官が記者会見で言っていたことですが、今ミャンマー国内で反対している人たちは、軍の見積もりでは15%から20%の国民であると。軍から見ると、そこまで多いとは認識していなくて、“自分たちに大義がある”と感じている人もいます」
今後の見通しもかなり悲観的になりそうだと中西さんはいいます。
中西さん
「国軍がやりたいことと市民が望むことに大きなかい離がある状態で、統治が続く。不安定な統治が続く、というのが今見ているかぎりは、そうなりそうな雰囲気があります」
国際社会からの批判も耳に届かない状況で、事態の収束は不透明な状況です。
それでも、中西さんは、日本政府も国際社会も繰り返し働きかける努力が必要だと話していました。
そして私たち一人一人も、インターネットなどを通じてミャンマーの市民を支援する方法がいろいろあるといいます。
ミャンマーの人たちが命懸けで発信する情報に耳を傾けて、自分なりの現状に対する貢献の形を探っていくことが大事だと話していました。
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