京都市 公益通報で“停職”の職員を“けん責”処分に

京都市は、内部告発のため児童相談所の資料を持ち出したなどとして停職の懲戒処分にした職員について、裁判で「公益通報」を目的とした行為で処分は重すぎると判断され取り消されたことから、13日、改めて懲戒より軽い「けん責」の処分としました。専門家は「処分は通報しようとする人を萎縮させかねない」と指摘しています。

最高裁「処分は重すぎる」

京都市の40代の男性職員は、児童相談所に勤務していた平成27年、市内の児童養護施設の元施設長が入所者の少女に性的虐待をしようとしたという相談が放置されたとして、市が設けた外部の窓口に通報しました。

その際、証拠として相談記録が記された内部資料を無断で持ち出したことなどから、市は停職3日の懲戒処分にしました。

男性職員が不当な処分だと訴えた裁判は、今年1月、最高裁判所で「資料の持ち出しは『公益通報』を目的として行われたものだ」としたうえで、「処分は重すぎる」とする判決が確定し、処分は取り消されました。

京都市は処分について改めて検討した結果、内部資料を自宅に持ち帰って保管し、その後、無断で廃棄したことは市の管理基準に違反するとして、13日付けで男性職員を懲戒より軽いけん責の処分としました。

京都市は「公益通報の重要性は認識しており、判決で『懲戒処分は重きに失する』とされたことについては真摯(しんし)に受け止めている。ただ、書類の持ち帰りと無断廃棄については懲戒事由に該当すると裁判でも認められており、それらの行為について検討して処分した」とコメントしています。

男性職員「公益通報への後悔はない」

改めて処分を受けたことについて男性職員は「京都市からは停職の懲戒処分が誤りであったとの謝罪は一切なく、また苦しめられるのかと思い、納得がいきません。資料の持ち出しは隠蔽が行われるのではないかなどの不安を抱き、自宅以外に適切な保管場所を思いつかなかったためです。廃棄については、了解を得たものと理解していましたが、判決で軽率と指摘されている点については反省しています。犯罪行為を見逃すことはできなかったので、公益通報をしたことへの後悔は今もありません」と話していました。

内部通報制度に詳しい弁護士「一定のルール整備を」

今回の処分について、内部通報制度に詳しい拝師徳彦弁護士は「問題を是正しようと通報することへの非常に大きな萎縮効果が働き、コンプライアンス向上の観点からは非常にマイナスになると考える」と指摘しています。

そして、児童相談所の対応に問題があると考え、それを是正する目的で必要な資料を通報のために持ち出すことは決して非難されるものではないとしたうえで、「持ち出しについては法律でもきちんとした規定がないが、通報に際して、証拠資料は非常に重要だ。通報者が責任を問われないよう一定のルールを整備する必要がある」と話しています。