菅首相「『重点措置』機動的に講じ感染拡大防止」

新型コロナウイルス対策をめぐり、菅総理大臣は、衆議院決算行政監視委員会で、感染拡大の動きは、全国的な大きなものにはなっていないという認識を重ねて示したうえで「まん延防止等重点措置」を機動的に講じることで、拡大の防止に万全を期す考えを示しました。

自民党の田中英之氏は「緊急事態宣言ではなく『まん延防止等重点措置』になったのは、国民の努力の形だが、緩く捉えられてしまいがちだ。そうならないよう、メッセージをしっかり伝えてもらいたい」と求めました。

これに対し菅総理大臣は「世界規模の感染の波は、私たちが想像したものを超えて、厳しいものだ。引き続き、緊張感をもって対応していただくことが、極めて重要だ。営業短縮に協力をいただくとともに、大人数の会食を控えてもらうなど、感染拡大の防止に協力をいただきたい」と述べました。

立憲民主党の山内康一氏は「すでに第4波に入っているのではないかと、多くの国民が感じている。『まん延防止等重点措置』では十分ではないという声が大きい」とただしました。

これに対し菅総理大臣は「全国的には、大きなうねりとまではなっていない。緊急事態宣言を発することのないよう『重点措置』を機動的に行使をして取り組んでいきたい。強制力もあるので、見回りのチームを作って注意を徹底すると同時に、変異株の警戒などをしっかり行い、抑えていきたい」と述べました。

また、菅総理大臣は、大阪府の今の感染状況について、ことし1月に緊急事態宣言が出された時と、どちらが厳しいか問われたのに対し「今のほうが厳しくなっている。ただ、午後8時までの営業時間の短縮をしたのは、今月5日からであり、大阪府も『状況を見守りたい』と言っている。連携しながら対応している」と述べました。

さらに、菅総理大臣は、変異ウイルスへの対応として、新規感染者の検体を抽出して行っている検査について「割合を早急に40%まで上げたいと申し上げているが、さらに引き上げる努力をするのは当然のことだ。必要に応じて新しい試薬を活用するなど、変異株の国内の監視体制を強化していきたい」と述べました。

さらに、ワクチンの接種体制について「医療関係者の確保が重要なのは当然だ。自衛隊にもお願いしたい」と述べました。

小池都知事「重要な時期 ここで抑え込む」

東京都に、12日から「まん延防止等重点措置」が適用されたことについて、小池知事は記者団に対し、「重要な時期だ。変異株の拡大で感染者数が増えてきている。ここで皆さんとともに抑え込まないと、病床の確保や手術を待っている方が変更を余儀なくされる。この重点措置の期間、感染しないさせないを徹底してほしい」と述べました。

そのうえで「ワクチンの接種はまだほんの一部だ。ワクチンがないなかでどう感染を防止するか。素手でたたかっていると何度も申し上げている。皆さまの協力が欠かせない」と述べました。

加藤官房長官「正確でわかりやすい情報発信に努める」

加藤官房長官は、午後の記者会見で「『まん延防止等重点措置』の区域では、飲食店への午後8時までの時短要請、区域内のすべての飲食店の見回りなどの対策のパッケージに加え、変異株による感染が増加していることを踏まえ、感染拡大防止の観点から不要不急の都道府県間の移動は極力控えるようお願いしている」と述べました。

そのうえで「国民の皆さんのより一層の協力が不可欠であり、正確でわかりやすい情報発信に努めていく。さまざまな媒体を活用し、若い世代を含め、国民の皆さんに共感を持っていただけるようなメッセージを発信していく。引き続き、各自治体と連携しながら取り組みを進め、各地で発生する流行の波を大きな流行にしないよう対策の徹底を図っていく」と述べました。

共産 小池書記局長「接種のスピードがあまりにも遅い」

共産党の小池書記局長は、記者会見で「接種のスピードがあまりにも遅い。高齢者の接種が終わる時期に加え、国民全体ではいつ始まり、いつまでかかるのかなども全く見えない状況だ。政府にはワクチン確保を急ぐのに加え、接種体制の整備や正確な情報開示を改めて求めていきたい」と述べました。