高齢者へのワクチン優先接種始まる 初日は約120か所予定

65歳以上の高齢者に対する新型コロナウイルスワクチンの優先接種が、12日から始まりました。

アメリカの製薬大手ファイザーなどが開発したワクチンは、ことし2月以降、医療従事者への接種が進められ、12日からは65歳以上の高齢者への優先接種が始まりました。

厚生労働省によりますと、初日の12日は、全国の少なくともおよそ120か所で接種が行われる予定で、このうち東京 八王子市では市役所に設けられた会場で接種が開始されました。

優先接種の対象となる高齢者はおよそ3600万人と、日本の人口の3割近くにのぼります。

11日までに都道府県に配送された高齢者向けのワクチンは、1瓶5回で計算して、
▽東京、神奈川、大阪が、それぞれ3900回分
▽そのほかの道府県が1950回分です。

最初は数にかぎりがあることから、まずは高齢者施設の利用者から接種を始める自治体もあります。

厚生労働省は今後、自治体への配送量を増やしていく計画で、ことし6月中には対象の高齢者全員が2回接種できる量を配送できる見通しだとしています。

接種を受けるには、自治体から接種券が届いて以降、電話やインターネットなどで予約を行う必要があります。

接種を受けられる場所は、厚生労働省の専用サイト「コロナワクチンナビ」でも検索できます。

東京 世田谷区と八王子市で始まる

新型コロナウイルスの高齢者へのワクチン接種が、東京都内で最も早く世田谷区と八王子市で始まりました。

このうち八王子市は、都内の市町村で高齢者の人口が最も多く、先着順で予約を受け付けた1900人に対し、12日から8日間にわけて接種が行われます。

初日の12日は250人の接種が行われる予定で、接種する人が密集しないように、30分刻みにあらかじめ指定された時間に会場を訪れて接種します。

接種会場の市役所1階のロビーでは午前9時すぎから受け付けが始まりました。

会場では、医師が体調などを確認する問診とワクチンを接種するスペース、それに接種後に待機するスペースが設けられ、順次、高齢者がスペースを移動しながら接種を進めていました。

1番目に接種を受けた74歳の男性は「ワクチンが接種できてありがたいです。もう少し痛いと思っていましたが、特に痛みはなく体調に変化もありませんでした」と話していました。

また、孫に予約を取ってもらったという80歳の女性は、「ふだん病院に通うのに満員のバスや電車を利用するので、無事に接種ができてほっとしていますが、まだ多くの方が受けられていないと思うと申し訳ない気持ちもあります」と話していました。

八王子市の石森孝志 市長は「今回の“第一弾”は、あっという間に予約が埋まり多くの市民が接種を希望していることが分かった。八王子市ではワクチンが届けば週に4万回接種できるような体制を整えているので、供給元の国には、早くワクチンを届けてほしい」と話しています。

長野 人口700人余の北相木村では すべての村民が接種の見通し

長野県では人口700人余りの北相木村で新型コロナウイルスの高齢者へのワクチン接種が始まり、100歳の男性など5人が接種を受けました。

この村では、届いたワクチン1箱で対象となるすべての村民が接種できる見通しで、7月には接種を終えたいとしています。

長野県内で最初にワクチン接種が始まった北相木村では、午前9時ごろ、100歳の男性を含む5人が村の診療所を訪れました。

5人は問診で熱やせきなどの症状がないか確認したあと、ワクチンを接種しました。

その後、およそ15分間、経過観察を行いましたが、村によりますと、今のところ体調に問題がある人はいないということです。

人口が700人余りの北相木村では、届いたワクチン1箱で対象となるすべての村民が接種できる見通しで、村では7月には接種を終えたいとしています。

接種を受けた100歳の男性は「日常の生活の中で家族などに迷惑かけているが、自分のできることをやらなければときょうを迎えた。ふだんの診療と変わらず、頭の中に少しあった心配が全部取り除かれた」と話していました。

また、100歳の男性の家族で、67歳の女性は「早く2回目を打って安心感を高めたいし、娘たちに安心して帰ってきてもらいたい」と話していました。