女性が初投票した日から75年 政治の男女格差をなくすには

日本で女性が初めて選挙で投票をした日から10日で75年です。政治分野での男女格差をなくすにはどうすればよいか考えるイベントが開かれました。

女性の参政権は戦後になって実現し、75年前の10日、昭和21年4月10日に行われた衆議院選挙で初めて女性が投票し女性初の国会議員が39人誕生しました。

男女共同参画の実現を訴えるNPOなどはオンラインでイベントを開き、各党の女性議員や専門家などが参加しました。

政治分野での日本の男女格差は依然として大きく、世界各国の議員たちでつくるIPU=列国議会同盟によりますと、各国の議会では女性議員が占める割合が全体で25%を超え過去最高となる中、日本の衆議院の女性の比率は9.9%と193か国のうち166位となっています。

イベントでは社会学者の上野千鶴子さんが「女性政治家が増えないのは選挙権は行使しても被選挙権を行使せず候補者が増えないからだ。女性に関わる課題が山積する中で私たちの力で政治を変える一歩にしたい」と話しました。

また、現役の国会議員からは、候補者になること自体にさまざまな壁があることや、議員を続けながら妊娠、出産や育児をすることの難しさを指摘する声があがりました。

どうすれば女性議員を増やせるかという問いに対しては「女性を増やすことに注力するのではなく、育てることを目的とした制度を作るべきだ」とか「女性が力を引き出せるような教育が行われるべきだ」といった意見が出されました。
最後に「日本社会は性差別発言を許さない新しい規範が形成されつつあるが、その変化から取り残されているのが永田町と議会政治だ。女性議員を倍増させるためにできることをすべて行動に移し、男女の完全な平等が実現された公平な社会を築くために一歩ずつ前へ進んでいく」という宣言が読み上げられると参加者から拍手があがっていました。

※イベント主催:「パリテ・キャンペーン実行委員会」「ウィメンズアクションネットワーク」

75年前に投票した女性は

75年前に初めて投票した女性の1人、もろさわようこさん(96)です。

長野県出身で、今は沖縄県で暮らしています。

当時、21歳。

投票日は就職のため上京する日で、現金より貴重だったというお米をリュックサックにたくさん詰めて投票所に行ったといいます。

もろさわさんは「小学校にあがったときに満州事変があり、戦争以外知らないで育ちました。民主主義と言われてもすぐにはついていけませんでしたが、参政権という与えられた機会を自分なりに使おうと思っていました」と振り返ります。
女性の候補者もいましたが「女性だからといって女性に投票するのではなく、その人が戦時中どんな生き方をしていたかを自分で確かめて入れようと思いました。『東洋平和のために』ということばにだまされていた自分が戦後を生きるに当たって、ことばの中身がどうなのか自分の責任で検証するようにしたいと考えていたので、村に来る候補者の演説を直接聞いて最初の一票を使わせていただきました」と話しました。

もろさわさんはその後、婦人参政権運動や女性の地位向上に取り組んだ市川房枝と出会い、女性史研究家となって書籍の執筆などを行ってきました。

これまで一度も投票を棄権したことはないということです。

もろさわさんは「先輩たちが苦労して要求し、戦後、ようやく女性の参政権を獲得できました。男性に勝てる政治ではなくて女性たちが参加することで庶民の富をあすの幸せ、庶民の幸せのために使う政治につなげることができたらと思っています。世の中、まだまだ差別はありますが、この1票だけはみんな平等です。自分たちの日常も未来も決める貴重なものを持っているのに棄権するのは自己否定だと思っています」と話していました。

女性参政権の経緯

参政権をめぐっては、明治22年に一定以上の納税をした男性に限って認められ、その後、大正14年に納税額による制限が撤廃され、男性については普通選挙が実現しました。
一方、女性については、大正時代に市川房枝や平塚らいてうを中心に新婦人協会が創立されました。
婦人参政権を求める運動が進められますが、実際に認められたのは戦後の昭和20年12月のことでした。
そして、75年前の昭和21年4月10日に行われた総選挙で初めて女性が投票し、女性初の国会議員も39人誕生しました。

当時の投票率をみると、男性が78.52%だったのに対し、女性は10ポイント以上低い66.97%でしたが、その後、女性の投票率は徐々に上昇し、女性として初めて衆議院議長を務めた土井たか子氏が初当選した昭和44年の総選挙では、女性の投票率が初めて男性を上回りました。
一方、衆議院の女性議員は、75年前は39人、全体に占める割合は8.4%でしたが、現在は46人、9.9%と大きくは変わっていません。

世界各国の議員たちでつくるIPU=列国議会同盟によりますと、各国の議会では、女性議員が占める割合が全体で25%を超え、過去最高となる中、日本の衆議院の女性の比率は193か国のうち、166位となっています。

若い人たちの声は

女性が参政権を得て初めて投票した選挙から75年となる中、これからの時代を生きる女性たちに選挙や政治への意見を東京・渋谷で聞きました。

20歳の会社員の女性は「以前より男女が平等になってきていますが、そうではない時代があったことは悲しい。私たちもちゃんと声を上げてこの状況を守っていかないと変わっていってしまうものだと思います」と話しました。

就職活動のため大阪から東京を訪れた21歳の大学生は、参政権を求めて女性たちが声を上げた経緯について「かっこいいと思います。男女平等は進んでいるものの男女での賃金の格差や家事や育児は女性という現状がまだまだあると思います。そうしたおかしいことを変えていくために自分にも何かできることがないか考えたい」と語っていました。

ことし2月に18歳になり、選挙権を得たばかりの大学生の女性は「国や時代によって女性が投票できないことがあると高校で学びました。私たちは年齢が来れば選挙権をもらえるのですが、苦労して権利を勝ち取ってくれた人の気持ちを考えると投票に行くしかないと思っています」としたうえで、「今はSNSで政治家に直接意見を言うことができ、それに答えてくれることもあります。インターネットでいろんな意見に触れたり発信したりすることもできるので、自分にできることに取り組んでいきたい」と話していました。