新型コロナ 持続化給付金めぐり 調教師など170人を処分 JRA

JRA=日本中央競馬会のトレーニングセンターで働く調教師の助手などが新型コロナウイルス対策の「持続化給付金」を制度の趣旨から逸脱して受給していた問題で、JRAは、日本調教師会などが受給は不適切だったとして、調教師や騎手など合わせて170人を処分したと発表しました。

JRAは3月、トレーニングセンターで働く競走馬の調教師の助手など160人余りが「持続化給付金」の制度の趣旨から逸脱しておよそ1億9000万円を受給していたとする調査結果を発表しました。

JRAは10日、日本調教師会や騎手クラブが受給は不適切だったとして、調教師や騎手など合わせて170人を処分したと発表しました。

このうち騎手13人と調教師3人を戒告の処分としたほか、最初の調査でうその報告をしたきゅう舎従業員の3人を出勤停止、そしてきゅう舎の従業員132人を厳重注意の処分としました。

一方、JRAは、不適切な受給をしたきゅう舎の従業員のほか、みずから受給を呼びかけた調教師や注意を喚起されたあとに受給を申請した騎手など、合わせて170人を厳重注意などの処分にしました。

またこの問題でJRAは、給付金の申請をサポートする文書を作成していた馬主法人の代表者で税理士法人の代表者に対して、事実関係を確認したことも明らかにし、この税理士法人が関わった受給申請は114件だったと発表しました。

JRA理事長「信頼回復に全力で取り組む」

JRAの後藤正幸理事長は「持続化給付金の趣旨・目的を逸脱した受給は、社会の良識に欠ける行為で、今回の事案が中央競馬の信頼に関わる問題となったことについて心よりおわび申し上げます。このたびの問題に対して寄せられたご意見等を真摯(しんし)に受け止め信頼回復に向けて全力で取り組んでまいります」とコメントしています。

日本調教師会会長「厳正に処分した」

日本調教師会の橋田満会長は「制度の趣旨をよく理解しないまま安易に申請・受給した調教師やきゅう舎従業員、またきゅう舎従業員への注意喚起が十分でなかった調教師について、日本中央競馬会と連携して経緯や内容を精査し、規定等に従って厳正に処分しました。今後、中央競馬の置かれた立場をよく理解し、社会規範の順守やモラルの向上を図り、皆様からの信頼回復に努めてまいります」とコメントしています。

日本騎手クラブ 武豊会長「信用回復が責務」

日本騎手クラブの武豊会長は「今後は、騎手としてだけでなく社会人として責任を持った行動・判断をしていくよう騎手全員に対しても厳重注意をしました。コンプライアンス強化を目的とした講習会についても定期的に実施する予定です。社会的信用を1日でも早く回復することが今の我々の責務であると考えております。以後、このようなことがないよう努めてまいりますので、皆様のご理解ご支援を今後ともよろしくお願い致します」とコメントしています。