早期がんの手術が大幅減 検診を受ける人が減少 コロナの影響で

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、国内有数のがんの専門病院、東京の「がん研有明病院」では、去年、早期の胃がんの手術が半減するなど、手術件数が大幅に減っていたことが分かりました。
感染を心配して、検診を受ける人などが減少し、早期に見つかる人が減ったためで、がんが進行した状態で見つかる人が増えていると懸念を強めています。

「がん研有明病院」は、患者数が国内で最も多いがんの専門病院で、例年、胃がんの手術をおよそ500件、乳がんの手術をおよそ1200件行っています。

病院で、去年1年間の手術件数を調べたところ、胃がんでは、全体で前の年より32%減少し、特に最も早期の「ステージ1A」では50%減少していたことがわかりました。

また、乳がんでも去年4月から12月まででは、前の年の同じ期間に比べて、手術全体で19%、「ステージ1」までのがんで27%減少と、いずれのがんも特に早期での手術件数が大幅に減少していたということです。

新型コロナへの感染を心配して、がん検診や病院での検査を受ける人が大幅に減少し、早期に見つかる人が減ったのが理由と見ていて、病院は、がんが進行した状態で見つかる人が増えているとしています。

手術件数は、去年秋以降は例年並みになっているということですが、佐野武病院長は「全国的にがんが、より進んだ状態で見つかる人が増えている懸念がある。どこの施設も対策はかなり進んでいるので、気になる症状があれば迷わず受診し、症状がなくても受けるべき検診はしっかり受けてもらいたい」と話しています。