“空気中の除菌” 宣伝に根拠認められず 消費者庁が措置命令

合理的な根拠がないのに「空間除菌」や「浮遊菌をカット」などと宣伝して除菌スプレーを販売していたとして消費者庁はメーカー2社に対し、景品表示法に基づいて再発防止などを命じる措置命令を行いました。

このうち1社は11日までに「措置命令は承服し難く、取消訴訟の提起及び執行停止の申立を行う」などとホームページで明らかにしました。

命令を受けたのは、「ノロウィルバルサン」と呼ばれる商品を販売していた東京・中央区の医薬品メーカー「レック」と「ケア・フォー ノロバリアプラス スプレー」と呼ばれる商品を販売していた大阪市の原材料メーカー「三慶」の2社です。

消費者庁によりますと2社は、いずれも「亜塩素酸水」の除菌スプレーを自社のウェブサイトなどで販売する際に、おととし11月から去年10月にかけて「空間除菌目に見えないウイルス・菌を99.9%除去」や「浮遊菌をカット」などと表示して、空気中の除菌ができるかのように宣伝していたということです。

消費者庁が会社側に対して表示の根拠を示すよう求めたところ提出された資料は使用条件とは異なる環境で実験を行っているなどいずれも効果を裏付ける合理的な根拠は認められなかったということです。

このため消費者庁は、こうした行為が景品表示法に違反するとして2社に対し、再発防止などを命じる措置命令を行いました。

これについて、レックは、10日、ホームページで「措置命令における事実認定及び判断には承服し難く、取締役会において措置命令に対する取消訴訟の提起及び執行停止の申立を行うことを決議した」などとする見解を明らかにしました。

また、「三慶」は「消費者の方々に誤認を与える表示になっていたこと深くお詫び申し上げます。管理体制を強化し、再発防止を図ってまいります」としています。

「亜塩素酸水」消毒や除菌での使用について

国は、新型コロナウイルスの消毒や除菌を目的とした「亜塩素酸水」の使用について厚生労働省のホームページで使用条件などを示しています。

それによりますと、医薬品の承認を受けている一部の商品を除いて安全性などの評価が行われていないとして「亜塩素酸水」は、手や指には使わずに、家具などモノの除菌に使うこととされています。

また、使用条件も示されていて、拭き掃除の場合は、遊離塩素濃度が25ppm以上のものを使い、ペーパータオルなどにしみこませてから拭くこととしています。

汚れがひどい場合は、汚れを拭き取ったうえでペーパータオルなどを敷き、遊離塩素濃度が100ppm以上のものを上からまいて、数分以上おくことなどとしています。

一方、空間への噴霧については「亜塩素酸水」を含む、すべての消毒剤や除菌剤について有効かつ安全な噴霧方法が科学的に確認された事例はなく、眼や皮膚についたり、吸い込んだりするおそれがある場所では使わないよう呼びかけています。