新型コロナ感染状況 ステージ判断の指標一部見直し 政府分科会

政府の「新型コロナウイルス感染症対策分科会」が示した提言では、去年まとめた感染状況を見るための「ステージ」の指標が感染の第3波の時期に十分機能しなかったことから、ステージを判断するための指標を一部見直しました。

「ステージ」を感染状況によって4段階に分けるのは従来と変わりませんが、ステージの位置づけを改めて示し、「ステージ1」を「医療提供体制に特段の支障がない段階」、「ステージ2」を「感染者の漸増や医療提供体制への負荷が蓄積する段階」、「ステージ3」を「感染者の急増や医療提供体制における大きな支障の発生を避けるための対応が必要な段階」、
「ステージ4」を「爆発的な感染拡大や深刻な医療提供体制の機能不全を避けるための対応が必要な段階」としています。

そのうえで、医療への負荷がかかる状況に至るような感染拡大の予兆を早期に探知するために、「安定した状況からの感染の立ち上がり」を把握するための指標として、「発症日別の陽性者数」や「PCR検査の陽性率」、前の週に比べて新規感染者が増えているかなど「感染拡大の速度」に加え、感染が若い世代を起点にして高齢者に広がることから、年齢別の新たな感染者数の動向を継続的に見ていくことや、夜間、歓楽街に出ている人の数に注意する必要があるとしています。

また、「ステージ4に至る可能性が高くその前に強い対策を行うべきタイミング」を把握するための指標として、「感染拡大の速度」に加えて都道府県が最大限確保する病床数に2週間から4週間で満床に達することが想定される新規感染者数などを設定し、見ていく必要があるとしています。

そして、基本的には「ステージ3」になれば感染が拡大しそうなときに急ブレーキをかけるための「サーキットブレーカー」として速やかにまん延防止等重点措置を含む強い対策を早期に講じることが重要で、場合によっては「ステージ2」の段階から用いることも考えられるとしていて、「ステージ4」では緊急事態宣言による対策を検討すべきとしています。

そのうえで、これまでステージを判断する指標として示していた項目を見直し、1「医療のひっ迫具合」、2「療養者数」、3「PCR検査の陽性率」、4「新規感染者数」、5「感染経路が不明な人の割合」の5つとしました。

この中で「医療のひっ迫具合」の具体的な項目として、病床の使用率だけでなく、患者の増加に伴って入院できずに自宅や施設で療養する人が増えることから、すべての療養者に占める入院できている人の割合を「入院率」として新たに加えました。

さらに、それぞれの項目の目安となる数値を示し、「ステージ3」の場合、「医療のひっ迫具合」は確保病床の使用率が20%以上、重症用の確保病床の使用率が20%以上、入院率が40%以下、「療養者数」が10万人当たり20人以上、「PCR検査の陽性率」が5%以上、「新規感染者数」が1週間で10万人当たり15人以上、そして「感染経路が不明な人の割合」が50%以上としています。

また、「ステージ4」の場合、「医療のひっ迫具合」は確保病床の使用率が50%以上、重症用の確保病床の使用率が50%以上、入院率が25%以下、「療養者数」が10万人当たり30人以上、「PCR検査の陽性率」が10%以上、「新規感染者数」が1週間で10万人当たり25人以上、そして「感染経路が不明な人の割合」が50%以上としています。

これに基づいて、国や都道府県は、感染拡大の初期には感染の状況に関する指標を重視し、指標の数値をすべて満たさない場合でも対策を迅速に講じるとしました。

逆に、感染が収束する局面では、医療体制に関する指標をより重視して対策の緩和などは慎重な判断を行うとしています。

さらに、地方では医療体制がぜい弱で新規感染者数が少ない段階から医療のひっ迫が起きやすいうえ、一度感染が拡大すると短期間に「ステージ3」に至るため、「ステージ3」になる前でも積極的に対策を講じる必要があるとしています。

分科会は、この新しい指標について、あくまで目安でステージの判断は都道府県が総合的、主体的に行うとしましたが、広域的な感染拡大に至る可能性が高い場合には国がリーダーシップを発揮するよう求めました。

分科会は、国や都道府県に対し、感染状況の評価を踏まえてステージの判断について助言を行うとしています。