変異ウイルス 都内でも著しく増加「爆発的増加を危惧」

東京都内の新型コロナウイルスの感染状況などを分析・評価する「モニタリング会議」が開かれ、専門家は、感染力の強い変異ウイルスが都内でも著しく増加していると報告したうえで、今後について、「爆発的に感染拡大して、第3波を超えるような経過をたどることが危惧される」と強い危機感を重ねて示しました。

8日の会議で、専門家は、都内の感染状況と医療提供体制をいずれも4段階のうち最も高い警戒レベルで維持しました。

このうち感染状況は、新規陽性者数の7日間平均が、先週の先月31日時点のおよそ349人から、今月7日時点はおよそ395人となり、前の週からの増加比は113%で3月中旬から継続して100%を超えていると報告しました。

そして、増加比が113%で継続すると、1日当たりの新規陽性者が、2週間後には1.28倍のおよそ500人に、大型連休後に当たる4週間後には1.63倍のおよそ640人になると分析しました。

専門家は「新年度を迎えてさらに人の流れが増加しており、急激な感染拡大への厳重な警戒が必要だ」と指摘しました。

また、都内でも感染力の強い変異ウイルスによる感染例の合計が、2週間前の先月24日時点の31件から、今月7日時点では149件と著しく増加していると報告しました。

そのうえで、専門家は「人の流れの増加や変異ウイルスの影響などで、新規陽性者数の増加比がさらに上昇することが予想され、爆発的に増加し、第3波を超えるような経過をたどることが危惧される。取り組みの成果はおおむね2週間後に現れる傾向があり、直ちに対策を講じる必要がある」と強い危機感を重ねて示しました。

一方、医療提供体制について、専門家は「今後の感染状況の推計や人の流れの増加、変異ウイルスの影響などを考慮すると、体制のひっ迫が危惧される」と指摘しました。

そのうえで「現時点で個室管理が必要とされている変異ウイルスに感染した患者が増加し、個室の入院調整が難航するとともに、透析患者や高齢者などの入院調整も依然として困難な状況にある」と述べ、医療提供体制のひっ迫に危機感を示しました。

都内での変異ウイルス割合 直近1週間で32% 前の週の4倍に

東京都内で、感染力が強いとされる変異ウイルスの割合が急激に増加し、検査を行った検体に占める割合は直近の1週間で32%で、前の週の4倍となったことが都の研究機関の分析で分かりました。

東京都の「健康安全研究センター」は、ことし2月から今月4日までに陽性が確認された604の検体について変異ウイルスの種類などを分析しました。

それによりますと、感染力が強いとされ、関西で多く見られている「N501Y」と呼ばれる変異ウイルスは今月4日までの直近1週間では158検体のうち51検体でした。

率にすると32.3%で、これは前の週の8.2%のおよそ4倍です。

研究センターは「N501Y」が「急激に増えている」と分析しています。

一方、従来のウイルスは先月7日までの1週間が52.1%だったのに対し、今月4日までの1週間では25.9%となり、減少しました。

また、「N501Y」とは別の変異ウイルスで、感染力が著しく高くなるなどの変化がこれまでのところ見られていない「E484K」は先月28日までの1週間では60%でしたが、今月4日までの1週間では41.8%で、減少しました。

「健康安全研究センター」の吉村和久所長は「今後、『N501Y』の変異ウイルスの広がりが懸念される。『E484K』よりも脅威が大きいと考えている」と話していました。