東京も「まん延防止等重点措置」要請 緊急事態宣言との違いは

新たに545人の感染が確認された東京都。今後、急速な感染拡大が懸念されるなどとして、政府に対して「まん延防止等重点措置」を適用するよう要請しました。
この「まん延防止等重点措置」、どのような措置?「緊急事態宣言」とはどう違うの?

「まん延防止等重点措置」とは

「まん延防止等重点措置」は、ことし2月に成立した新型コロナウイルス対策の改正特別措置法で新たに設けられました。

緊急事態宣言が出されていなくても集中的な対策を可能にしたもので、総理大臣が措置を講じるべき都道府県と期間を公示します。

緊急事態宣言が都道府県単位で出されるのに対し、重点措置では、対象となった都道府県の知事が市区町村など特定の地域に対策を講じることになります。

また、緊急事態宣言が感染状況が最も深刻な「ステージ4」に相当するかどうかが目安になっているのに対し、重点措置の適用は「ステージ3」が想定され、感染が局地的に、急速に広がっている場合は「ステージ2」での適用もありえるとされています。
そして、重点措置のもとでは、宣言が出された際と同様に、知事が事業者に対し、営業時間の短縮などを「要請」し、応じない場合には「命令」することができ、いずれの場合も事業者名を公表することができます。

さらに「要請」や「命令」を行うため、必要な範囲で、立ち入り検査などを行うこともできます。

ただ、宣言のもとで可能となっている休業要請は、重点措置のもとでは行えません。

正当な理由がなく「命令」に応じない事業者や、立ち入り検査を拒否した事業者への罰則は、重点措置のもとでは20万円以下の過料、宣言のもとでは30万円以下の過料となっています。

「爆発的に感染拡大を危惧」 東京都のモニタリング会議

8日に開かれた東京都のモニタリング会議で専門家は、感染力の強い変異ウイルスが都内でも著しく増加していると報告したうえで、今後について「爆発的に感染拡大して、第3波を超えるような経過をたどることが危惧される」と強い危機感を重ねて示しました。
東京都の感染状況をみると新規陽性者数の7日間平均が、先週の先月31日時点のおよそ349人から7日時点はおよそ395人となり、前の週からの増加比は113%で3月中旬から継続して100%を超えていると報告しました。

そして、増加比が113%で継続すると、1日当たりの新規陽性者が、2週間後には1.28倍のおよそ500人に、大型連休後にあたる4週間後には1.63倍のおよそ640人になると分析しました。
専門家は「新年度を迎えてさらに人の流れが増加しており、急激な感染拡大への厳重な警戒が必要だ」と指摘しました。

小池知事「危機管理の観点から重点措置の適用を要請」

東京都の小池知事は記者団に対し「変異株の感染者が急増し、質的に変わってきている。東京もいつ大阪のような状況になってもおかしくない」と述べました。

そのうえで「厳しい状況にあるということを認識しつつ、危機管理の観点から国に対して重点措置の適用を要請した。まずはまん延防止だが、感染状況次第で、緊急事態宣言の発出など、さらなる対策についても検討するよう合わせて要請した」と述べました。

また、重点措置が適用される期間や対象については「大型連休の全体をカバーできるくらいの方がいいのではないか。地域については、感染状況などを総合的に判断したうえで若干、区切ることになると思う」と述べ、国とも協議して、検討を進める考えを示しました。

京都 沖縄も適用要請へ

また、京都府の西脇知事は、8日夕方記者団に対し、府内で新型コロナウイルスの感染が急拡大していることを受けて、国に対し「まん延防止等重点措置」の適用を要請する考えを示しました。

このほか沖縄県も「まん延防止等重点措置」の適用について、政府からの打診を受けて、要請を行う方針を固めました。

菅首相 東京に「重点措置」適用方針

菅総理大臣は記者団に対し「要請を受けて、5大臣会合を開催し、東京都の『重点措置』について、あす、専門家による分科会に諮ることを決定した」と述べ、東京都に「重点措置」を適用する方針を明らかにしました。

一方で、菅総理大臣は「東京以外の地域や期間については、まだ何も決まっていないが、地元の自治体と検討しながら、機動的に早急に方向性を出していきたい」と述べ、感染状況が悪化している、ほかの地域についても「重点措置」の適用が必要か検討する考えを示しました。

「サーキットブレーカー」として強い対策を 政府分科会

8日夜の政府の分科会では「まん延防止等重点措置」について、基本的に「ステージ3」と判断されれば、感染が拡大しそうなときに急ブレーキをかけるための「サーキットブレーカー」として強い対策を早期に講じることが重要だなどという提言案が示されました。

提言案は、分科会での議論を経て正式に決定される見通しです。