菅首相 福島第一原発“トリチウム水”の処分方法 近日中に判断

東京電力福島第一原子力発電所で増え続けるトリチウムなどの放射性物質を含む水の処分方法について、菅総理大臣は近日中に判断する考えを明らかにしました。

トリチウムなどの放射性物質を含む水の処分方法をめぐり菅総理大臣は7日、総理大臣官邸で全国漁業協同組合連合会の岸会長と会談しました。

このあと菅総理大臣は記者団に対し「福島の復興について汚染水の処理は避けて通れない課題だ。そういう中で漁業関係者と議論しいろいろな立場の話をうかがい非常に有意義だった」と述べました。

そのうえで「私からは6年間かけた検討の中での有識者の評価や風評被害などについてお話しした。きょうの面談も含め、これまで意見をいただいているので、そうしたものを踏まえたうえで近日中に判断をしたい。いずれにせよ風評被害を最小限にする努力は絶対に必要だ」と述べました。

相馬双葉漁協 組合長「風評再燃いちばん怖い」

東京電力福島第一原子力発電所で増え続けるトリチウムなどの放射性物質を含む水の処分方法をめぐり、菅総理大臣が基準以下の濃度に薄めて海に放出することがより確実に実施可能な方法だとする専門家の報告書を踏まえ、政府の方針を決定する考えを示したことについて相馬双葉漁協の立谷寛治組合長は「本格操業に向けて動き出している中、トリチウムを含む水が海洋放出され風評が再燃することがいちばんこわい。これまでどおり海洋放出に反対の考えは変わらない」と話しました。

そのうえで「東京電力をめぐっては地震計の不備の問題や未管理の放射性廃棄物が入ったコンテナが発覚するなど問題が相次いでいて信用していいのか根強い不安がある。私たちは震災による津波で亡くなった漁師や原発事故後、漁師になった若者たちのために福島の漁業を再建しようとしているところであり政府には漁業者や地元の住民、それに国民に真摯(しんし)に向かい合ってほしい」と話しています。

魚卸売り加工品製造会社 社長「不安大きい」

福島県いわき市で魚の卸売りや加工品の製造を行っている会社の上野臺優社長は原発事故のあと、首都圏で福島県産の魚のPRをするなど風評被害の払拭(ふっしょく)に力を入れてきました。

上野臺さんは「震災後、トラブルがあるたびに販売量が減り10年かけてじょじょに回復してきたところだった。海に流したときの消費者の反応を考えると自分たちが作ったものを買ってもらえるのかと不安は大きい。できることなら処理水は1滴でも流してほしくない」と話していました。

釣り具販売店 「いつになったら復興するのか」

福島県相馬市で釣り具の販売と釣り船を営む堀川順子さんは「10年たって去年あたりから売り上げも上がってきたなかで処理水を海に放出した場合にお客さんが来てくれるのか心配です。漁業者はもちろんですが私たちのこともどこまで国は真剣に考えているのでしょうか。蚊帳の外に置かれた感じで生活ができるのか不安です」と話していました。

そのうえで政府に対して「漁業者、釣具店、観光業、それに養殖業とみんな生活がある中で放出するのであればその影響があった場合は面倒を見てもらいたいです。いつになったら福島は復興するのか、あと何十年こういう状況が続くのか教えてほしいくらいです」と話していました。

双葉町 伊澤史朗町長 「コメントできない」

福島第一原発が立地する双葉町の伊澤史朗町長は菅総理大臣と全漁連の岸会長が面会したことについて「面会については、その内容などについて国などから正式な連絡があったわけではなくコメントできない。処理水についてはこれまでも述べているとおり国に対応方針を早期に決定していただきたいと考えている」とコメントしました。

大熊町 吉田淳町長「コメント差し控える」

福島第一原発が立地する大熊町の吉田淳町長は「町には国からの連絡が入っていないためコメントは差し控える。処理水の処分方法については、いかなる方法を取ろうとも徹底した安全確保が大事であることはもちろん、丁寧な情報発信により国民の理解につながる努力が大切で、国には責任を持って対応してもらいたい」と話しています。