大阪「赤信号」点灯 感染急拡大 “若い世代が多いのが特徴”

大阪府では新型コロナウイルスの感染が急拡大しています。
このままの状況が続けば医療崩壊につながるおそれがあるとして、7日、府として医療非常事態宣言を出しました。

大阪府独自の指標、「大阪モデル」で赤信号が点灯したことを受けて、大阪のシンボル「通天閣」も赤色に。

専門家は、今回の『第4波』での大阪の感染状況について「これまで多かった60歳以上の感染者の割合が少なく、若い世代が多いのが特徴だ」と指摘しています。

大阪・浪速区の「通天閣」は、7日午後6時15分に3万を超えるLEDが一斉に赤くともされました。

ライトアップは、感染の急拡大で医療体制がひっ迫し、大阪府独自の指標「大阪モデル」で非常事態を示す「赤信号」が点灯したことを受けたものです。
「通天閣」の東側に設置されたモニターには、大阪府のキャラクター、「もずやん」が涙を浮かべる顔も映し出されました。
「医療非常事態宣言」を出した大阪府は、府民に対し、次のような要請を行っています。
▼会食は4人以下でマスクを着用する
▼歓送迎会や宴会などは控える
▼大阪府内の全域で不要不急の外出や移動を自粛する

大阪府 危機感の背景は

大阪府が7日、「医療非常事態宣言」を出した背景には、重症患者用の病床がここ数日で急速にひっ迫したことがあります。

大阪府の新規感染者数は、4月1日に600人を超えるなど急増していて、6日は719人、7日は878人にまで増えました。
これに伴い、重症患者の人数も急激に増えています。
3月中旬には50人余りまで減っていましたが、4月6日の時点で3倍近い149人となり、重症病床の使用率は66.5%にまで上昇しています。

20代・30代の新規感染者数も増加中

大阪府は、20代、30代の若い世代の感染状況も調べています。

大阪府のまとめでは、4月6日までの7日間の新規感染者数の平均は、252.71人と、3月31日に比べて97人増加。若い世代で感染が急激に広がっていると指摘しています。

変異ウイルス 検査対象の7割超に

大阪府は変異した新型コロナウイルスの広がりも調べるため、スクリーニング検査を行っています。

4月3日までの1週間の新規感染者3462人の1割弱、304人分の検体を調べたところ、224人、率にして73.7%が変異ウイルスだったということです。

専門家「若い世代、特に10代が多いのが特徴」

専門家からは今の感染の広がり方や医療体制について、大阪府の新型コロナウイルスの対策本部会議の中で、厳しい認識を示す意見が相次ぎました。

府の専門家会議の座長で、大阪健康安全基盤研究所の朝野和典理事長は「今回の『第4波』では、これまで多かった60歳以上の感染者の割合が少なく、若い世代、特に10代が多いことが特徴だ」と大阪の感染状況を分析しています。

また、急激な感染者の増加の背景には変異ウイルスの影響が大きいと分析したうえで「感染者の1割程度しか調べられていないが、大阪ではすでに変異株に置き換わっていると考えられる。状況によっては、緊急事態宣言も視野に状況を注視すべきだ」と警鐘を鳴らしています。

「重症化までの時間が早くなっている」

大阪市立総合医療センターの白野倫徳医師は「これまでとくらべると患者が重症化するまでの時間が早くなっているほか、子どもの患者も増えていて、変異株によって感染性や病原性が高まっている可能性がある」とコメントしています。

そのうえで、重症患者用の病床について「ワクチンの接種に人手が割かれるなどして、急に重症病床を増やすのは困難だ。無理をすると院内感染からクラスターが発生するなどして、かえって機能が低下する可能性がある」と指摘しています。

「医療提供体制が極度にひっ迫するおそれ」

りんくう総合医療センターの倭正也感染症センター長は「現在、確保できている224床の重症患者用の病床を超えて、重症患者が発生する可能性が高く、医療提供体制が極度にひっ迫するおそれが極めて強い。待機できる手術の延期や救急医療の病院間の振り分けについて、大阪府が早急に方針を示す必要がある。医療態勢がひっ迫した状況が今後も続くことが予想され、まん延防止等重点措置の効果を待ってからでは手遅れになる可能性が高い。緊急事態宣言の発出の要請を視野に入れてほしい」とコメントし、強い危機感を示しています。