大阪で広がる変異ウイルス 感染力 最大1.7倍 対策どうすれば?

大阪府は6日、過去最多となる719人が新型コロナウイルスに感染したことが確認されたと発表しました。

これで8日連続で東京の感染者数を上回りましたが、急激な感染拡大の原因の一つとされているのが、変異ウイルスです。

関西では、イギリスで最初に見つかったタイプの変異ウイルスが多く確認されています。これまでのウイルスとどう違うのか、感染対策はどうすればいいのか、専門家に聞きました。

変異ウイルスの割合 次第に高まる

変異ウイルスへの感染が確認された人の割合は徐々に上がっています。

大阪府は変異した新型コロナウイルスがどれくらい広がっているか実態を調べるため、ことし1月からスクリーニング検査を行っています。

検査の対象には変異ウイルスの濃厚接触者などが含まれているため、大阪府はこの割合がただちに変異ウイルスの広がりの全体状況を示すものではないとしていますが、割合は上がり続けています。

3月27日までの1週間で66.5%。検査をした人の中では3人に2人が変異ウイルスに感染しているという計算になります。

感染力は最大1.7倍 “イギリス型”

関西で多く確認されているのが、イギリスで最初に見つかったタイプの変異ウイルスです。

この変異ウイルスは、WHOのまとめによりますと、従来のタイプより感染力が最大で1.7倍ほど高いとされ、これが感染拡大の要因の一つとみられています。

このウイルスには、「N501Y」と呼ばれる変異があり、ウイルスが人に感染する際の足がかりとなる表面の突起部分が感染しやすいように変化していて、それにより感染力が高くなっていると考えられています。

変異ウイルスは従来のタイプとどのように違うのか、3つのポイントでみていきます。

感染力が高いとは?

変異ウイルスに対し、どんなことに気をつける必要があるのでしょうか。

感染力が強いということは、少ないウイルスの量でも感染することになるため、どの年代でも感染しやすくなると指摘されています。

特に子供は、従来のタイプでは、他の年代に比べて感染しにくいとされていましたが、変異ウイルスだとほかの年代と同じように感染するようになると考えられています。
感染症に詳しい大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、子どもの間でも感染が広がりやすいおそれがあることから、注意が必要だとしています。
(安井医師)
「これまでよりも少ないウイルスであっても感染してしまう。子どもたちどうしでも、これまで集団感染がほとんどみられなかった施設でも、集団感染が起きるかもしれない。学校や幼稚園、保育園を通じて各家庭に広がるおそれがあり、学校・幼稚園・保育園においてもさらに感染対策をしていかないといけない」

重症化や死亡のリスクは?

重症化や死亡のリスクについては、まだ詳しいことはわかっていません。

ただ、WHOによりますと入院や重症、それに亡くなるリスクが高くなっている可能性があるとしています。

専門家は今後、変異ウイルスの症例を集めて詳しく調べる必要があると指摘しています。

変異ウイルスに対しワクチンの効果は?

変異ウイルスに対してワクチンは効果があるのか、とても気になるところです。

WHOによりますと、イギリスで最初に報告された変異ウイルスについては、ワクチンの効果に大きな変化はないとしています。
また、イスラエルではファイザーのワクチンの発症を防ぐ効果が94%、感染を防ぐ効果も92%だったなどとする論文が出されていて、分析の対象となった期間にイギリスで見つかった変異ウイルスが流行していたことから、この変異ウイルスに対する効果があることが示唆されるとしています。

今月12日から高齢者へのワクチン接種が始まりますが、全体にいきわたるには時間がかかります。

専門家は、ワクチンがいきわたるまで爆発的な感染を抑えることが重要だと指摘しています。

(大阪府済生会中津病院 安井良則医師)
「感染対策をやっているからまだこの程度に抑えられているんだというふうに考えるべきではないかと思います。なかなか患者数が減らないとなると、より強い対策、例えば外出も制限しないといけない時が来るかもしれない。これからの1か月、2か月間というのはすごく大切だと思います。感染者の増加の速度を抑えながら、ワクチンの接種率をあげていくことが大切だといえます」